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拒食と過食を繰り返す「摂食障害」。若い女性を蝕む現代病。
令和2年7月更新
「摂食障害」は患者さんの95%が女性で、思春期に多く見られるのが特徴です。スリムな体型を賛美する風潮は、若い女性の健康面に少なからぬ影響を与えていると言えるでしょう。
思春期には、自分らしさが何か分からず、ついつい過激な行動を起こしがちです。若い女性がダイエットを試みることは少なくありません。そのうちの一部の人が、絶食(全く食べない)、過剰運動(毎日、数時間走るなど)、強制嘔吐(のどに指を突っ込んで無理に吐く)など過激な行動に走ります。その結果、極端にやせます。その後、リバウンドし、過食と嘔吐を繰り返す人も、低体重のままの人もいます。
概ね30歳以下の人に発症する。
拒食症は20%を超える体重減少が3カ月以上続く。
拒食症の人は、一見して異常とわかるほどやせているのに、本人は体重を戻すことを拒否する。
過食症もその根底には強い「肥満恐怖」があるため、食べた後に吐いたり、下剤を用いたりする一方、夜中に「隠れ食い」をすることもある。
拒食症と過食症を往き来する人も多い。
やせのための症状と過食、嘔吐のための症状がある。
やせると、無月経、低体温、低血圧、徐脈、便秘、手足のむくみ、脱毛、うぶ毛の密集、集中力の欠如などがある。やせに対して、小児科・内科を受診して、精神科を紹介してもらうこともある。
過食、嘔吐ではえらの張り(唾液を出す腺が腫れるため)、う歯、脱水、低カリウム血症(嘔吐で体内のカリウムが失われるため)、口腔、食道、胃の損傷などが見られる。
摂食障害の患者さんの数%~10数%の人が長期の経過の中で生命に関わる危険な状態となり、命を落とすことがある。
摂食障害は多くの体の問題を示しますが、根底には認知の歪みがあると言われています。精神科を受診し、長い時間をかけて、徐々に癒していくことが必要です。
身体的な症状に振り回されない:患者さん自身、実は「体がしんどい」と自覚していて、それが良くないことは十分に承知です。しかし、そのような行動を取らざるを得ない、心の苦しみを理解することが重要です。
摂食障害の人は、「自分は病気ではない」と精神科へ行くのを拒む場合が多く、受診にたどりつくだけでも、気の長い取り組みが必要です。あせらず、患者さんの苦しい気持ちと向き合って、取り組んでいきましょう。