
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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調査委員会だよりNo.123
府医ニュース
2025年4月2日 第3104号
前号に続き、2024年3月の調査の結果です。前稿にも関連するのですが、「現役期」の人々の減少が起こってくる一方で増加する「高齢期」の人々による社会保障での需要増大に対して、その負担をどの立場のものが担うべきかを問うた設問の結果です。
負担増を担うのは「高齢期」か「現役期」かその「両方」かという視点で、回答を3群に分けて考えました。すると、全体では、「高齢期」が45.2%、「現役期」が17.6%、「両者」が9.5%という結果でした。性別では、男性、女性の順に結果を示すと、「高齢期」44.6%、45.7%、「現役期」21.7%、13.8%、「両方」8.1%、10.9%となり、女性で「現役期」が担う割合が減り、「両方」で担う人が増えている結果となっています。
年齢別では、担うべきとされた世代で数字が下がることを予想したのですが、60代で「高齢期」が38.7%、70代では46.3%となり、意外に高い数字となっていました。概ね想像通りに、「現役期」については、20・30・40代ではその割合が低く、50代以上で高いという傾向がありました。「両方」と回答したのは60代、70代で14.5%、12.6%と1割を超えていますが、それ以外の世代ではやや低い傾向を認めています。そして、「分からない」の比率が60代以上で低く、若い世代では高くなっていました。
世代間の認識の違いがあるのは当然とは言え、「高齢期」の人々には自分達にとっての給付増に対する負担を自分達が引き受けるという一種の覚悟のようなものが垣間見える結果ではないかと考えています。なお、自由記載欄には、「経済的に余裕のある高齢者では負担を増やせばいい」という意見が何人かから寄せられていました。社会保障制度改革国民会議報告書(2013年8月)には、「すべての世代を給付やサービスの対象とし、すべての世代が年齢ではなく、負担能力に応じて負担し、支え合う」という全世代型社会保障の構築が目標とされています。「高齢期」の人々の負担が「年齢」だけが根拠となり一律に軽減されることから応能負担へこれからも変化してくと予測されます。
文 島田 永和(羽曳野市)