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時事
府医ニュース
2025年4月2日 第3104号
3月12日に第605回中央社会保険医療協議会(中医協)総会が開催され、訪問看護ステーションの指導監査について議事が行われた。医療保険の訪問看護を行う訪問看護事業所の数は平成20年には5190訪問看護ステーション(以下、ステーション)と介護保険の訪問看護を行うステーションよりも少なかったが、その後ステーション数は逆転し、令和2年には1万1612となり、6年には2年の約1.5倍、1万6945まで増加した。一方、訪問看護を行う病院・診療所は減少傾向である。また、法人種別では、医療法人のステーション数は平成20年3730、令和6年3582と著変ないのに対して、営利法人のステーション数は平成20年1211から令和6年9401と約8倍に増加しており、全体の6割を占めている。
平成20年から令和5年の15年間で、医療保険の訪問看護療養費の算定件数は94万件から610万件と約6.5倍、年間医療費は648億円から6072億円と約9.4倍に増加している。平成30年度から令和5年度において、ステーションが受け取る年間医療費総額階級別のステーション数は、すべてのカテゴリーで増加している。年間医療費の総額が大きいステーションほど増加率も大きくなっており、年間医療費1500万円未満のステーションは122%の増加率であるのに対し、2.5億円以上のステーションは15事業所から192事業所と1280%の増加率であった。平成30年度から令和5年度において、ステーションごとのレセプト1件当たり平均医療費(年度平均)階級別ステーションの数も、すべてのカテゴリーで増加している。医療費の額が大きいステーションほど増加率も大きくなっており、レセプト1件当たり平均医療費10万円未満のステーションは136%の増加率であるのに対し、50万円以上のステーションは30事業所から215事業所と717%の増加率であった。1件当たりの医療費が高額のステーションでは、訪問看護の日数や回数が一律に多いといったような状況があるのではないかと考えられる。訪問看護療養費の1人当たり1カ月の請求額は3万円台が最も多く、平均は9万2125円であったが、請求額が60万円以上のものが、全体の1%強であり、最大値は116万2640円であった。
審査支払機関での審査は訪問看護指示書を発行している医療機関のレセプトとの突合点検が行われていない等の問題が指摘される。
地方厚生(支)局および都道府県による指導の機会は開設時に一律に行うものや、情報の提供を端緒としたもの等に限られており、令和5年の個別指導は20件となっているが、病院・診療所に義務付けられている開設半年以後の新規個別指導も実施されていない。
以上の訪問看護療養費の請求状況および指導の実施体制、現状のステーションの指導の実施状況等を踏まえ、ステーションへの指導については、次のような見直しが考えられる。複数都道府県にわたって広域で運営されているステーションについて、より効果的な指導を実施するため、厚生労働省本省ならびに地方厚生(支)局および都道府県による指導の仕組みを新設する。ステーションに対する指導は主に「情報提供」のみが端緒であるため、例えば高額など一定の基準に該当するステーションに対し、教育的な視点による指導機会(選定基準)を設ける。さらには、保険者・審査支払機関等へ積極的な情報提供の依頼についても検討するとした。今後、審査支払機関も対応を求められることとなると思われる。(中)