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府医ニュース

2025年4月2日 第3104号

 ◆幼少の頃、近所にはおばちゃん達。遠慮なく出入りする子らに甘えさせ、時に厳しく叱ってくれた育ての母達。
 ◆予期せぬ妊娠で、出産育児に耐えられそうもない女性と子を救う取り組みが「内密出産」。女性が身元を病院担当者に明かすのみで、子は特別養子縁組などへ。子が成長し、出自を知りたくなっても、女性の同意がなければ開示しない。女性の心的負担への配慮。
 ◆我が国で取り組む熊本・慈恵病院の働きかけで、22年国指針で戸籍作成手順が確定。一方、女性に身元開示の同意を説得する場に行政の同席を求める。権限を持つ行政の同席には、女性への負担が大きい。加えて、「内密出産を推奨するものではない」の項の冷たさには驚かされる。
 ◆内密出産への評価は様々だが、行政の使命は厳しい状況の女性と子への温かな支援である。非難するのではなく、例え身元開示がなくとも、女性と子それぞれを確かに支援すると約束すべきである。近所のおばちゃん達は、我が子のように目をかけてくれた。地域が母である。(翔)