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医師・医療関係者のみなさまへ

在宅医療における死因診断に関する研修会

府医ニュース

2025年4月2日 第3104号

かかりつけ医に死後診察は必須スキル

 大阪府医師会は令和6年12月6日午後、「在宅医療における死因診断に関する研修会」を府医会館で開催した。ウェブとの併用で、会員・医療従事者をはじめ、介護支援専門医など在宅医療に関わる多職種ら約200人が受講した。

 冒頭、前川たかし理事があいさつ。超高齢社会で誰もが望む最期を迎えるには、在宅医療の推進が必要であり、その人の最期を誰がどのように診断するのか、医師を含めて多職種で理解を深めることが重要だと述べた。その上で、本研修会がさらなる地域包括ケアシステムの深化の一助になればと期待を寄せた。
 辻正純氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が座長を務め、松本博志氏(大阪大学大学院医学系研究科法医学教室教授)が、「在宅医療における死因診断について――死後診察とは」と題して講演した。

死後診察の留意点など解説

 松本氏はまず、我が国は多死社会を迎えており、入院患者が病床数の上限を超えると在宅医療利用者が増加し、自宅で亡くなる方がさらに増えるとの見解を示した。独居高齢者など、在宅で死亡して24時間以上が経過した場合でも、死因が生前診療した傷病によるものだと特定可能であれば、死亡診断書を交付できると解説。そのため、「かかりつけ医にとって死後診察は必須事項」だと強調した。死後診察における所見取りでは、▽体温測定▽死斑▽死体硬直▽角膜の混濁――などは、死亡日時推定に必要な情報であり、非常に重要になると訴えた。また、▽溢血点の量▽注射痕▽胃の内容物と家族の話の矛盾点――などが、自然死ではないことを示す可能性もあるため、「注意が必要」と指摘。そのほか、外部所見や口腔内などについても説明した。あわせて、遠隔での死亡診断について概説。看護師による死後診察補助が可能となる5つの要件を伝えた。
 最後に、死因究明は次の命を守ることであり、最期に受ける医療行為に役に立てたいと締めくくった。