
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年4月2日 第3104号
大阪府が主催する令和6年度アルコール関連問題のある人への簡易介入マニュアル普及研修が6年12月5日午後、大阪府医師会館とウェブのハイブリッドで開催され、医療従事者など約100人が参加した。
冒頭、阪本栄副会長があいさつ。府内におけるアルコール依存症が疑われる人は約22万人いる一方、専門医療機関の外来患者数は1万人に満たず、その多くが依存症の治療につながっていないと指摘。患者や家族を支援していくためにも、早期発見・早期対応が重要であり、かかりつけ医と専門医療機関の連携強化が求められるとして、本研修会がその一助になればと期待を込めた。
まず、「アルコール関連問題のある人への簡易介入マニュアルについて」と題して、和気浩三氏(新生会病院長)が講演した。和気氏は、アルコール依存症専門医療機関である自院の概要を説明するとともに、平成26年6月に施行された「アルコール健康障害対策基本法」を解説。また、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、ローリスク飲酒とされる具体的な量は提示されていないと述べ、「最も健康に良い飲酒量はゼロで少量の飲酒にもリスクがある」と強調した。さらに、アルコール関連問題によって年間3万5千人の死亡、4兆1千億円の社会的損失があると強調。ハイリスク飲酒者(依存症予備軍)は専門医療機関外での治療介入が肝要として、「アルコール関連問題のある人への簡易介入マニュアル」の使い方について説明を加えた。
次に、「当科(消化器内科)におけるアルコール関連疾患に対する取り組みについて」と題して、安辰一氏(ベルランド総合病院副院長)が講演。安氏はまず、アルコール性肝障害診断基準を示し、5年以上の長期にわたる過剰飲酒が肝障害の主な原因と考えられる場合に「アルコール性」と呼ばれるとした。予後については、断酒に成功すれば改善が見込めると述べ、自院の治療方針として2020年までは「継続飲酒の状態では診療をしない」としていたが、その後「断酒が原則だが、アルコール依存症治療と並行して、消化器内科でもフォローする」との方針に転換したと語った。その上で、具体的な症例を紹介しつつ、ドロップアウトする患者の対策などが今後の課題だとまとめた。