TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

加納会長が近大医学部生に特別講義

府医ニュース

2025年4月2日 第3104号

医師会の役割など伝える

 大阪府医師会は、多くの医学生に医師会活動を知ってもらうことを目的に大学で特別講義を実施している。今回は1月23日午後、近畿大学医学部で2学年を対象に「プロフェッショナリズム/実習Ⅱ」において、加納康至会長が講演した。
 はじめに、全国組織の医師会誕生までの経緯を概説した。初代医師会長である北里柴三郎が、新千円札の肖像になったことに触れ、「野口英世に続き医師が再度肖像に選ばれたことは、医療が社会に欠かせないという裏付けだ」と説いた。現在、医師会員の割合が医師数の半分強という状況を憂慮し、この機会に医師が「医師会を持つこと」「医師会に入ること」の2つの視点からメリットを考えてほしいと伝えた。現場の意見を届ける手段が医師会であり、より良い医療を実現するため、組織強化が大事だと説明。医師会に入ることのメリットとして、▽医師賠償責任保険▽医師資格証▽医師年金▽医師国保――などを挙げた。府医入会の最大メリットについては、医賠責への加入とあわせて、医師協同組合や医師信用組合のサービスだと加えた。
 次に、「保険診療の基本」について講義した。保険診療は、保険医と保険医療機関との公法上の契約であり、適切に医療を提供しているかの確認として国から指導・監査を受けることがあると解説。加納会長は、保険医について「自身も医師会に入るまで詳しく知らなかった」と振り返り、保険診療の禁止事項は時代とともに変化するため、常に意識しておくよう呼びかけた。ほかにも、医師法について言及した。
 最後に最近の医療情勢として、医師偏在対策を取り上げた。日本医師会の見解も示し、地域別診療報酬の導入については人口の偏りを医師の配置や待遇で是正しようとすることは、誤りだと強調した。また、働き方改革では「勤務」と「自己研鑽」の区別を明確にすることが重要になると訴えた。
 質疑応答では、学生からの質問に、加納会長が応じた。