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医師・医療関係者のみなさまへ

大阪・関西万博を視察

府医ニュース

2025年4月2日 第3104号

大阪ヘルスケアパビリオンなど取材

 日本国際博覧会(大阪・関西万博)開催を目前に控え、加納康至会長、宮川松剛副会長、栗山隆信理事は3月16日、会場を訪れ大阪ヘルスケアパビリオンを視察。あわせて会場内に設置された3カ所の診療所を巡り、傷病者対応や緊急時の搬送ルートを確認した。

 大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、4月13日から10月13日まで184日間にわたり開催される。世界中の最新技術や文化が集まる博覧会で、世界規模で未来を考える役割が求められる。
 視察当日は日本医師会の黒瀨巌常任理事とともに「大阪ヘルスケアパビリオン」を訪れた。当該施設は、健康と医療に関する展示や体験ができ、未来の技術や健康づくりのアイデアを学べる。一行は、山下陽一氏(大阪パビリオン事務局長)の案内で会場を見学後、西澤良記氏(同館長/前公立大学法人大阪理事長)にパビリオンのテーマやメッセージ、閉会後のイメージなどを聞いた。
 パビリオンのテーマや来場者へのメッセージについて西澤氏は、人は生まれ変わるという意味合いがあると「リボーン」を挙げた。施設内では最先端の医療技術や健康増進のための研究成果を、「実際に見て・触れて・体験し、楽しく学べる」と言及。ワクワクや楽しさが未来への一歩となり、それが「いのち輝く未来社会」につながってほしいと述べた。
 パビリオンの目玉としては「iPSによる心筋シート」を取り上げた。実物も展示予定であり、「細胞ケアから新たな再生医療、老化予防」にも関心が高まるのではないかと期待を寄せた。また入場の際に簡単なヘルスデータを集め、AIが必要な栄養を提案する試みもあり、「健康づくりをサポートしたい」と語った。
 西澤氏は体験型コンテンツの筆頭として「リボーン体験」を力説した。データ等を基に25年後の「自身のアバター」が作成され、モニターに映し出される。50歳代以上には不向きではとの見方もあったが、西澤氏は「考えが変わった」と体験を振り返る。健康への取り組み方の重要性も改めて理解できたとし、勇気をもらえたと加えた。
 加納会長は、アンチエイジングとの関連を問うた。これに対しては、「アンチエイジングはすでに実用化が進んでおり、来館者にミライを感じていただくことを目的としたため、別のコンセプトを掲げることとした」との見解を示した。当初「若返りをコンセプトに」との案も出たが、若い人の興味は薄く、精神的な意味合いも込めて「リボーン」を選定したと明かした。
 万博開催期間を終えた後については、取得した測定データを来場者の同意の下で産学官が連携して研究に取り組みたいとの意向が示された。パビリオン内の体験プログラムを継承できる企業を選定する構想も進みつつあり、健康増進の支援につなげたいとした。西澤氏からは「医療の手前で医師に相談する体制」が肝要で、社会に実装していきたいとの話があった。
 加納会長は「訪れた方に命・健康の重要性を再認識してもらいたい」と発言。その上で、大阪の健康指標向上が万博の成果・レガシーになればと期待を込めた。
 会場内には3カ所の診療所と5カ所の応急手当所が設置され、来場者の救護にあたる。府医では、日曜日・祝日の出務医師を募り、東ゲート診療所、リング北診療所に医師を派遣する。
 この日は3カ所の診療所をすべて巡り、西ゲートおよび東ゲートに配置される軽EV救急車も確認した。

万博開催に向けて意気込み語る

 大阪・関西万博会場の視察後、加納会長、宮川副会長、栗山理事、黒瀨・日医常任理事による座談会が開かれた。
 加納会長は、医療面から万博を盛り上げたいとの意気込みを示した。