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医師・医療関係者のみなさまへ

介護保険研修会・主治医意見書作成に関する説明会

府医ニュース

2025年3月26日 第3103号

介護報酬と医療・介護の連携
江澤日医常任理事が解説

 令和6年度「介護保険研修会・主治医意見書作成に関する説明会(第2回)」(主催:大阪府・大阪市・大阪府医師会)が3月8日午後、府医会館で行われた。約120人が受講した。当研修会・説明会は、「大阪府・大阪市主治医意見書作成研修事業」の一環として毎年併催している。

 宮川松剛副会長が座長を務め、加納康至会長が開会あいさつで、高齢化の進展による要介護認定率の上昇とそれに伴う医療と介護の複合的なニーズの増加に言及。「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築が重要になるとし、本日の講演が有意義なものになればと期待を寄せた。

医療・介護連携には日頃から顔の見える関係づくりを

 はじめに江澤和彦・日本医師会常任理事が、「6年度診療報酬・介護報酬改定を踏まえた医療・介護連携と新たな地域医療構想へ向けて」と題して講演した。
 まず介護報酬改定を概説。新興感染症対応を踏まえた「高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)」や、退院後リハビリテーションにおける医療と介護の情報連携の推進などを取り上げた。認知症施策推進基本計画で示された「新しい認知症観」を引きあいに、最期まで自分らしく暮らすことの重要性を説いた。
 また、介護保険では要介護申請から認定までを原則30日以内に行うことになっているが、平均所要期間がそれを上回る保険者も多いと報告。30日以内に収まっている保険者を参考に、▽認定調査▽主治医意見書作成▽介護認定審査会――に係る期間の目安を示した。包括的な医療サービスの提供に向けては、高齢者施設と医療機関が日頃から連携し、介護側から気軽に声がかけられる関係づくりが大切とした。
 さらに、新たな地域医療構想について説述した。高齢者人口や要介護認定者数、推計入院患者数などの推移や、病床利用率と医業利益率の低下について提示。今後は医療機関の役割分担を「治す医療」と「治し支える医療」で明確化して、医療機関の連携・再編・集約化が進むとした。地域医療構想調整会議では、医師会がリーダーシップを取って幅広い議論をしてほしいと要請。新たな地域医療構想は「地域医療介護構想」であり、平素から市町村にも介護構想を議論する場を設置する必要性を訴えていると明かした。そのほか、医師偏在対策や介護・障害福祉サービスなどを説明した。

ツールを活用し効率的に正しい評価を

 続いて、小林正宜氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が、「主治医意見書記入の留意点」と題し、効率よく短時間でできる患者に役立つ記載の仕方についてポイントを伝えた。
 主治医意見書は、介護必要度の判断材料となるほか、ケアマネジャーを中心とした多職種へのメッセージになるため前向きに取り組んでほしいと前置き。介護必要度に変わりがなければ簡潔に記載し、初回や介護必要度が上がる時にはしっかり書くといったメリハリの大切さを強調し、日医ORCA管理機構によるソフト「医見書」の活用法を実践的に紹介した。特に「特記すべき事項」は、空白にせず、介護の手間について具体的に記載するようアドバイス。「正しい評価と記載で正しい介護度を」と呼びかけて結んだ。