
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年3月19日 第3102号
2月度郡市区等医師会長協議会(令和6年度第11回)が2月28日午後、大阪府医師会館で行われた。本文は加納康至会長あいさつ(要旨)。
昨今の経済情勢をみると、医療機関を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。人件費の上昇や物価の高騰に加えて、光熱費などのコストも上昇し、医療機関の経営は非常に苦しい状況だ。このままでは地域医療体制の維持も困難であり、地域医療構想自体にひずみを来すことが危惧される。
このような状況に鑑み、大阪市では昨年度に引き続き、「医療機関等物価高騰対応支援金事業」を実施する。大阪府においても同様の事業を令和7年度予算に計上しており、詳細が決まれば改めて説明したい。
本年4月7日からは、感染症法施行規則の改正により、「急性呼吸器感染症」が感染症法上の5類感染症に位置付けられ、定点サーベイランスの対象となる。定点の医療機関には新たな報告義務が課されることとなり、現場ではさらなる業務負担となることは避けられない。先日、大阪府と7年度予算について協議の機会を得たが、医療機関が安定的に診療を続けられるよう、定点機関への適切な支援と柔軟な対応を求めた。
しかしながら、こうした医療現場の厳しい実情については、大阪府民や患者に理解されているとは言い難いのが現状である。医療従事者の負担増加や、医療機関経営環境の悪化で、地域医療が厳しい状況ということはあらゆる機会を捉えて伝えていかなければならないと考えている。当たり前に医療を受けられる環境が崩れつつある現状を理解していただくことが重要だ。
一方で、医療機関の経営は厳しいと主張しても、なかなか取り合ってもらえないだろう。全国で900万人近い医療・介護従事者の生活を守るという視点で、府民に訴えていけば、ある程度理解は得られるのではないか。そして、それが医療サービスの質の担保につながると理解されれば、国の施策にも影響を及ぼすと考える。医療は社会的共通資本であり、国民とともに考えなければ、地域社会全体の健康と福祉が損なわれることになりかねない。
郡市区等医師会長におかれては、日々の診療に加え、さらなる負担をかけて心苦しいが、この困難を乗り越え、持続可能な医療提供体制を構築するために尽力する。引き続きのご理解・ご支援をお願いしたい。