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時の話題
府医ニュース
2025年3月19日 第3102号
厚生労働省は昨年12月25日、医師偏在対策推進本部で、医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージを公表した。今年の通常国会で関連法案が提出される。
概ね松本吉郎・日本医師会長の主張していた6つの柱が追認された形で、日医も評価している。以下のとおりの内容である。
基本的な考え方
①医師確保計画に基づく取り組みを進めつつ、経済的インセンティブ、地域医療機関の支え合いの仕組み、医師養成過程を通じた取り組み等を組み合わせた総合的な対策。②医師養成過程を中心とした若手から中堅、シニア世代の医師を含むすべての医師にアプローチする。③へき地保健医療対策を超えた取り組みで、医師偏在指標だけでなく、地域の事情を踏まえた対策。
以上のように、日医の主張する多面的な偏在対策であり、特に経済的インセンティブが認められたことは大きい。③は医師多数地域とレッテルが貼られ、医学部定員削減の対象となる鳥取県、徳島県、沖縄県の3知事が福岡資麿厚労相に、県内でも地域によっては医師不足の地域がある実情を訴えた「要望書」が受け入れられた。
具体的な取り組み
▽医師確保計画の実効性の確保:①重点医師偏在対策支援区域(仮称)および②医師偏在是正プラン(仮称)である。これらは各都道府県でそれぞれ決める。①は人口減少以上に医療機関の減少が速いスピードで進む区域など。②は地域医療対策協議会・保険者協議会で策定される。▽地域の医療機関の支え合いの仕組み:①医師少数区域での勤務を求める医療機関の管理者要件を1年以上とする。②外来医師多数区域での新規開業希望者への地域での必要な医療機能の要請等の仕組みの実効性の確保として、開業6カ月前に提供予定の医療機関機能の届け出を求め、協議の場への参加、地域で不足する医療や医師が不足する地域への医療提供の要請等を可能とする。要請に理由なく従わない場合は、医療審議会での説明を求め、勧告・医療機関名を公表する。保険医療機関の指定は6年から3年等に短縮される。③保険医療機関の管理者要件:初期研修後、病院での保険診療実績が3年以上とする。初期研修後すぐに美容外科を目指す「直美」が批判される中での対策である。
経済的インセンティブ
医師少数区域での診療所承継・新規開業への支援、および少数区域へ派遣・従事した医師の手当増額は、保険者から支出される。福岡厚労相の「保険あってサービスなし」にはならないようにとの理屈である。
そのほかの項目として、全国的な医師マッチングの支援、リカレント教育の支援、都道府県と大学病院の連携、医師偏在指標のあり方、医師養成過程を通じた取り組み、診療科偏在の是正に向けた取り組みがある。対策施行後5年をめどに効果を検証し、十分でない場合はさらなる対策を検討する。
社会保険料を上げることなく、保険者は上記の財源を確保しなければならない。その方策が今後の問題となる。