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医師・医療関係者のみなさまへ

第3回学校保健講習会

府医ニュース

2025年3月5日 第3101号

聞き取りづらさと食物アレルギーについて解説

 大阪府医師会学校医部会(部会長=宮川松剛・府医副会長)は令和6年12月4日午後、第3回学校保健講習会を府医会館とウェブの併用で開催。医師や学校関係者ら約460人が聴講した。
 森口久子・同部会副部会長(府医理事)は開会あいさつで、講演が明日からの学校保健活動につながることに期待を寄せた。
 まず、坂哲郎氏(同部会耳鼻咽喉科対策委員会委員長)が座長を務め、阪本浩一氏(大阪公立大学大学院医学研究科聴覚言語情報機能病態学寄附講座特任教授)が、「『聞こえているけど、聞き取れない』聞き取り困難症の理解と支援」をテーマに講演した。

聞こえの問題
早期介入と環境調整が重要

 冒頭で、LiD/APD(聞き取り困難症/聴覚情報処理障害)は一般的な検査では明らかになりづらく、子どものうちは自覚症状がないと指摘。当事者アンケートの結果では、年齢が上がるにつれて心理的な困難さが増加しており、社会に出てから気付くケースが多いと分析した。事例を紹介し、聞こえの問題への早期介入や環境調整の大切さを伝えた。
 今後は、スマートフォンアプリなどにより当事者が病態や支援方法への理解を深め、それを周囲と共有することで合理的配慮につながる環境づくりを推進したいと力を込めた。
 次に、松井甲三氏(同部会副部会長・学校保健対策委員会委員)が座長を務め、亀田誠氏(大阪はびきの医療センター小児科主任部長)が、「学校における食物アレルギー対応――予防的対応から緊急時対応まで」と題し講演した。

エピペンは教職員の判断で使用可

 はじめに、▽即時型症状▽食物依存性運動誘発アナフィラキシー▽口腔アレルギー症候群――に分けて食物アレルギーを解説した。「学校生活管理指導表」を情報共有のためのツールとし、問診の要点を伝えた。さらに、大阪府の食物アレルギー緊急時対応マニュアルを例に、緊急時の役割分担の大切さや複数の想定をしておくことの有用性を説示。効率の良い情報収集が予防的対応のポイントだと加えた。エピペンは「教職員の判断で使用できる唯一の薬」と述べ、躊躇せず使用できるよう啓発したいと語った。
 最後に、日頃から医療機関と連携し、チームで対応するようアドバイスした。