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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年3月5日 第3101号
大阪市北区医師会(本出肇会長)や北区地域包括支援センターなどで構成される「北区認知症高齢者支援ネットワーク連絡会(通称にこりんく)」は令和6年12月12日午後、同区民センターで「認知症シンポジウム」を開催。近隣住民ら261人が参加した。
はじめに、太田祥彦氏(同区医師会副会長/北区オレンジチーム員医師)があいさつ。本講演やシンポジウムを通して、認知症についての理解を深めてほしいと期待を寄せた。
引き続き、湯谷勝治氏(ファーマシィ薬局南森町管理薬剤師)が、「認知症ってなあに」をテーマに講演。認知症のメカニズムを解説し、認知機能の低下だけでなく、行動・心理症状(BPSD)を併発することがあると説示した。また、働き盛り世代でも認知症になる危険性があり、経済的困窮に陥ることや、多岐にわたる支援が必要になる場合もあるとした。その上で、「認知症は必ずしも高齢者だけの病気ではない」と注意を促した。
次いで、認知症当事者である写真家の下坂厚氏(京都府認知症応援大使)をはじめ、中村淳子氏(おれんじドアおおさか世話人)、土手美幸氏(北区ハートフルオレンジチーム)、太田氏がシンポジストとして登壇。下坂氏は、当初は仕事の疲れによるミスだと認識していたが、「ついに通勤経路や同僚の名前が分からなくなった」と当時を振り返った。異変を感じてから診断が出るまでは2カ月と短かったが、「怖くて受診を先延ばしにしていた」と述べた。新しい職場で働き出しても経済的不安や認知症の不安が消えなかった時、「同じ病状の方と話したことが心の支えになった」と強調。写真を撮って記録を残すなど病気との付き合い方を語り、本人や家族だけで抱え込まず、専門職・医療従事者を頼るように助言し締めくくった。