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医師・医療関係者のみなさまへ

布施医師会AYA世代在宅医療研修会

府医ニュース

2025年3月5日 第3101号

お金や仕事の不安へ寄り添うことも治療

 布施医師会(平松久典会長)は令和6年11月30日夕刻、大阪府在宅医療サービス基盤整備推進事業の一環として、AYA世代在宅医療研修会をウェブで開催。AYA世代とは、様々なライフイベントを経験する15歳から39歳までを指す。「がんライフアドバイザー×AYA世代×緩和ケア」をテーマに基調講演と質疑応答が行われ、在宅医療に関わる約130人が視聴した。
 司会は、川邉正和・同医師会理事と福村雄一氏(東大阪プロジェクト代表/司法書士)が務め、平松会長が開会あいさつ。医療従事者が患者を支える上で、経済的問題に気を配ることの大切さを語った。
 次いで、川崎由華氏(がんライフアドバイザー協会代表理事)が、「AYA世代が抱える社会的苦痛――医療・介護現場でできる支援とは」と題し講演。「就学している」「自分で自分の生計を維持する」「自分の生計で家族を支える」各世代の事例から、がん患者が持つ希望や社会的・経済的負担を解説。医療従事者として知っておくべき知識を伝えた。
 高額療養費制度は、医療費が自己負担限度額に抑えられるが、所得区分や年齢、適用回数によって自己負担限度額が異なるため「万能薬ではない」と言及。医療費については、平均額ではなく実際に支払う金額を示すようアドバイスした。また、傷病手当金や障害年金などにも触れ、経済面を支える社会資源に関する情報収集の重要性を訴えた。
 川崎氏は、「お金や仕事の問題といった社会的苦痛の緩和も治療の一環」と言明。患者や家族への心理的サポートや、患者の目標に寄り添った支援の大切さを訴え、患者の孤立を防ぐコミュニティーづくりや多職種連携の強化を求めた。
 講演後は、ウェブで寄せられる質問に川崎氏が回答した。川邉氏、福村氏に川口俊氏(同医師会副会長)、能勢友里氏(東大阪市保健所健康づくり課)も加わり、患者の持つ不安やそれに対する助言に理解を深めた。