TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

勤務医部会活動報告

在阪5大学医師会役員・2行政医師会役員との懇談会

府医ニュース

2025年2月26日 第3100号

 会議は今村英仁・日本医師会常任理事の基調講演で始まった。医師偏在は単一の解決策では対応できない複雑な課題であり、地域医療の崩壊を防ぐため、全世代の医師が協力して取り組む必要がある。特に若手医師の意見を尊重し、地域医療の未来を見据えた対策が求められる。公的・公立病院の管理者要件については、地域医療支援病院の管理者要件を公的・公立病院にも拡大することが提案されている。医師少数地域での勤務経験を管理者要件に含めることで、地域医療に貢献する医師の育成を図る。
 また、臨床研修医や後期研修医の研修期間を延長し、地方での勤務を促進するプログラムも検討されている。医師少数地域での開業支援策としては、新たに診療所を開設する医師への資金支援や、医師の確保・派遣の強化が重要である。高齢化が進む地方では、診療所の承継支援に取り組んで行く必要がある。さらに、医師不足地域での勤務希望の医師に対し、リカレント研修や現場体験を提供する全国的なマッチングシステムの構築が提案されており、日医のノウハウ活用が考えられる。保険診療実績要件については、保険医療機関の管理者として、国民皆保険制度を堅持し一定期間保険医療機関での勤務を要件とすることで、保険医療の質を担保する。地域医療貢献の枠組み推進として、地域のニーズに応じた医療提供体制の確保が重要である。外来医師多数区域では、不足する診療分野への強い要請と医療関係者の協力を求め、医師偏在対策基金の創設を提案しており、医師少数区域での勤務を経済的に支援し、地域医療機能の維持・確保を図る。医師偏在の問題は、全都道府県の理解と協力が不可欠であり、日医は医師の自律性を尊重し、適切な制度設計と財源確保を目指した対策に取り組んでいることを講演された。
 第2部では杉本圭相・府医勤務医部会副部会長が、近畿大学における医師会活動の現状を講演した。病院勤務医の医師会入会率が93%、府医入会率は74%の中、アンケートは15.2%の回収率であった。結果として、医師信用組合、協同組合の知名度は半分位、医師会の勤務医構成、専門医機構への関与、勤務医部会の存在、女性医師支援活動は10~20%、政治活動に関しては33%の認知度であった。大学間ではやや変動があると思われるが、大学医局での認知度が低いことは否めない。今後かかりつけ医機能報告制度などで、新しい角度からの対策を練る必要がある。

府医勤務医部会副部会長 幸原 晴彦