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医師・医療関係者のみなさまへ

八尾市第32回健康・医療・福祉展

府医ニュース

2025年2月19日 第3099号

認知症の治療と予防を市民に啓発

 八尾市医師会(貴島秀樹会長)・歯科医師会・薬剤師会の主催による第32回「健康・医療・福祉展」が令和6年11月17日、同市生涯学習センターで開催された。会場には各団体によるブースが設けられ、地域住民ら367人が訪れた。
 同市医師会は「心肺蘇生コーナー」を設け、人形を用いて胸骨圧迫やAEDの使用法を実演。会員医師の指導の下、多くの市民が実技に取り組んだ。
 特別講演では、吉村匡史氏(関西医科大学リハビリテーション学部作業療法学科教授)が、「認知症治療と予防への取り組み」と題し、認知症に対する予防的取り組みや保険治療などを伝えた。
 はじめに、認知症とは、「認知機能が持続的に低下したため、自立した日常生活に支障を来す状態」と定義。認知症の原因となる主な疾患や症状を解説した。
 認知症の予防に関しては、「認知症にならない」ことではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」こととし、これをすれば「認知症にならない」「認知症が治る」ものではないと言明。運動や喫煙、食事・飲酒などにおける、認知症リスク低減に向けた心掛けを列挙した。生活習慣の改善に加え、難聴の管理や認知トレーニング、社会活動への参加もポイントとなるが、興味が持てないことは苦痛となるため、無理なくできることの継続が大切だとアドバイスした。あわせて、病態の進行を遅らせたり緩和させたりする治療薬の対象や使用法を紹介。作業療法や音楽療法などの非薬物療法にも触れ、「規則正しい生活や落ち着いた気持ちでいられる環境づくりも重要だ」と結んだ。