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府医ニュース
2025年2月19日 第3099号
最近興味深い話を聞いた。郵便局員の方なのだが、「いつも配達ご苦労様です」という言葉に対して、「いやいや、最近はもう大変ですわ。とにかく階段を上らないといけないから、足はフラフラです」という話から始まった。当然「またなんで?」という話につながっていく。ポツポツ話し始められた内容は、いつも大量のダイレクトメールか、稀にくるハガキや手紙程度の認識でしかない私にとって、そんなの1階の集中ポストに入れればいいじゃないかという貧困な発想では結論は導けない。あまり使わない郵便小包の話なのである。
実際通信販売など、ほとんど民間の業者が届けてくれるため、郵便小包は稀に届く程度である。しかしその日本郵便社員の話によると、最近外国人への小包の配達が多くなってきたそうである。その小包の多くは、配達するのに階段を上る機会が多くなったとのことである。日本に来たての外国人の多くは、安い家賃の住宅を借りるため、エレベーターが付いていない住宅が多いそうだ。故郷の家族が日用品などを送るのであろう。個人の小包が多く、我々日本人のように通販は少ないそうである。外国人にとっては自国の家族とつながる確かな命綱でもある訳で、わざわざ階段を上ってまで配達する日本郵便の確かさは、彼らが居心地良く日本に住むことにつながっている。まさにこれこそがインバウンド政策の影響であると実感した。しかし一瞬、ニューヨークハーレムの街並みの映像が重なった。実際安い家賃の住宅への入居は、古い貸家を持つ家主にとっては朗報である。だが外国人が集中して住み込むと、日本人は寄り付かない。別にそのこと自体は経済活性化の観点から見れば悪くない。家主にとっても固定資産税の呪縛から解放されるため、それなりの活性化である。
問題は不況時である。だからインバウンドはやめておけという発想はない。過去そうであったように、日本の活性化には外部の血は必要と思う。だからこそインバウンド政策は、それがもたらす陰の部分への対策を、日頃から立てておかなくてはいけないのである。(晴)