拡大鏡

◆大手コーヒーチェーン店が地域別価格を導入する。高い賃料や人件費上昇などを受け、東京23区や全国主要都市で価格を上げる。地域別価格はすでに大手外食チェーン店の間でも広がっており、企業としては妥当性のある判断なのだろう。
◆医療機関も同様に、都市部での運営上の経済的負担の上昇割合が高く、その丸抱えに幾分かの財政支援も期待したいところだ。しかし、財務省は医師の地域偏在対策を名目に、外来医師過多区域での「負の動機付け」として逆に診療報酬引き下げを目論んでいる。昨年末に厚生労働省が公表した「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」では見送られたが、今後も燻り続けるようだ。
◆地域医療の医師不足は喫緊の課題であるが、それはこの国が抱える東京圏および都市部への人口集中という社会構造に同期するものでもあり、この改革がなければ解決に及ばない。
◆拙劣な目論見は国民皆保険の根幹を揺るがし地域医療を救うどころか医療そのものを崩壊させかねない。危険な判断は後悔先に立たずである。（誠）