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医師・医療関係者のみなさまへ

第51回シルバー健康大学

府医ニュース

2025年2月19日 第3099号

「糖尿病」に関する講演と健康体操

 大阪府医師会では、昭和60年に府民向けイベント「シルバー健康大学」を開講し、高齢者の方々が健やかな生活を送れるよう毎年様々なテーマで実施している。51回目となる今回は、令和6年11月19日午後に大阪府医師会館で開催。「糖尿病」に関する講演および健康体操を行い、府民約100人が参加した。

 冒頭、司会を務めた大平真司理事があいさつ。人生100年時代と言われる中、介護を必要とせず元気に自立した生活を送るには、「健康寿命を延ばすことが重要」だと述べた。そのためには、生活習慣病の予防や食事・運動、心の健康に気を付けることが大切とし、本イベントが参加者の健康づくりに役立つものになればと期待を寄せた。
 まず、細井雅之理事(大阪市立総合医療センター糖尿病・内分泌内科部長)が、「新しい国民病?ダイアベティスとは?――糖尿病との関係は?」と題して講演した。糖尿病には様々なスティグマ(烙印)が存在し、患者の不利益につながっているため、治療や予後が大きく改善した現在、負のイメージを払拭する必要があると言及。「糖尿病」から、世界共通語の「ダイアベティス」への呼称変更が検討されていると説明した。
 次に、糖尿病の発生機序や原因を解説。1型糖尿病と2型糖尿病は原因が全く異なり、2型糖尿病には体質(遺伝的要因)が大きく関係しているとした。また、そのような体質のある方は食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が悪化の一因になると注意を促した。
 続いて、食事療法・運動療法・薬物療法の3つを詳説。食事療法の基本は「バランスよく食べること」と説示した。また、運動は脳卒中・心筋梗塞・認知症・がんの予防につながると指摘。日常生活活動量を増やして全体的な身体活動を上げるだけでも、健康寿命の延伸につながると説いた。
 最後に、糖尿病治療においては定期的な通院が大切であり、家族や周囲の人の支援が大きな助けになると強調。治療の最終目標として「糖尿病のない人と変わらない寿命とQOL」を掲げ、併存症の予防・管理や、スティグマの除去もあわせて取り組んでいく必要があると結んだ。

健康体操を指導
座位で行うボディコンディショニング

 講演後には、川端悠氏(大阪公立大学国際基幹教育研究院健康・スポーツ科学G都市健康・スポーツ研究センター准教授)が、「座位で行うボディコンディショニング」と題して健康体操を実施。川端氏は、パソコンやスマートフォンの普及により、首や肩への負担、目の疲れは現代人の身近な悩みになったと語り、①胸鎖乳突筋②小胸筋③前鋸筋④殿筋群⑤股関節伸筋群――のストレッチ方法を指導した。