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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年2月19日 第3099号
大阪府医師会労災部会・産業医部会・労災保険情報センターが主催する令和6年度「第2回労災医療研修会」が6年11月13日午後、大阪市中央公会堂で開催された。当日は、府医会員やその他関係者など約240人が聴講した。
冒頭、加納康至・同労災部会長(府医会長代行〈当時〉)があいさつ。6年4月から医師の働き方改革が始まり、時間外労働の上限規制など様々な取り組みが行われていると前置き。研修会を通じて本制度や労災に関する理解の促進につながればと期待を寄せた。
清水智之理事が座長を務め、はじめに岩本伸一氏(府医調査委員会委員長/東成区医師会長)が、「医師の長時間労働に関する調査結果とその課題」と題して講演。まず、医師の働き方改革における時間外労働の上限規制について概説した。また、6月に府医調査委員会で実施した会員意見調査から見えてきた課題を詳説。仕事量に関して診療責任者においては「忙しくなった」「かえってストレスが増えた」という声があったと述べた。自己研鑽については、病院長や部長など上級になるほど労働時間とは考えない傾向があると説明。そのほか、地域医療への影響、病院体制・収入の変化などが報告された。自由意見では、▽サービス残業の増加▽若手の教育への不安▽収入の減少▽ストレスの増大――など様々な問題がみられたと指摘。本制度が形骸化しないよう十分な検証を行うとともに、診療所においてもタスクシェア・シフトの考え方を議論する必要があると強調した。
次に、忽那賢志氏(大阪大学大学院医学系研究科感染制御学教授)が、「職場における感染対策」と題して登壇。医療機関における感染対策として、日常的な標準予防策の徹底に加え、経路別の感染対策の適用、予防接種の推進を挙げ、「労働災害を防ぐ上でも重要」と指摘した。また、大阪・関西万博などのマスギャザリングで流行が懸念される感染症として、▽髄膜炎菌感染症▽麻疹・風疹・おたふく・水痘▽インフルエンザ――などを提示。抗菌薬による曝露後予防やワクチン接種の必要性を解説した。さらに、結核曝露後や針刺しなどの体液曝露時の対応にも触れ、職場におけるフローを作成しておくことが重要と呼びかけた。