TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

令和6年度 皮膚の日講演会

府医ニュース

2025年2月5日 第3098号

多汗症、乾癬をテーマに講演

 大阪皮膚科医会(持田和伸会長)は令和6年11月3日午後、6年度「皮膚の日講演会」を大阪市内で開催。府民ら約110人が会場で受講した。本講演会は11月12日の「皮膚の日」に因み、皮膚疾患の啓発のために毎年行われている。
 司会を杉原昭・大阪皮膚科医会副会長が務め、冒頭、持田・同医会長があいさつ。本日の講演が皮膚疾患の悩みを解決する一助になればと期待を寄せた。
 まず、持田・同医会長が、「手汗、ワキ汗の最新治療」と題して講演した。持田氏は、汗の働きとして、体温調節のための温熱性発汗、精神性発汗、味覚性発汗を紹介。発汗は自律神経の一つである交感神経から放出されるアセチルコリンにより促されると語った。また、発汗量が多すぎて生活に支障が出るような病的な状態を多汗症といい、治療の対象となると説明。全身性多汗症は遺伝や体質、内分泌代謝疾患により生じるとした。一方、局所性多汗症は原因のない原発性多汗症がほとんどであり、特にワキや手の平の有病率が高いと説示。保険診療が適用される新規外用薬の効果などを詳説した。
 続いて、東山眞里氏(日本生命病院乾癬センター顧問)が、「乾癬をもっと知ろう――治療の進歩と日常生活の注意について」をテーマに登壇した。まず、乾癬の症状として、かゆみや目立つ皮疹、関節炎により生活の質が著しく損なわれると解説。患者数は約40~50万人と近年増加傾向にあり、原因はまだ完全には解明されていないとした。また、乾癬は様々な併存疾患が生じる全身の炎症性疾患であると指摘。発症して12年以内に約10%で起こる乾癬性関節炎のほか、心血管性疾患、糖尿病、メタボリックシンドローム、うつなどを併発すると述べた。最近は飛躍的に治療が進歩しているとし、生物学的製剤や新しい内服薬などを提示。できるだけ早期に皮膚症状・関節症状を改善し、併存疾患も治療することが重要であると強調した。