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TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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調査委員会だより No.121
府医ニュース
2025年2月5日 第3098号
前回に続き、2024(令和6)年3月の調査の結果です。社会保障の負担とは税、保険料、窓口負担金などで、一方、給付は、実際に受ける医療・介護サービス・年金となります。これらを総体として、いわば支払っただけのサービスを受けているかを問うた設問です。
分析しやすいように、「負担より給付がかなり少ない」と「やや少ない」を選択した群を「現状不満群」として、「バランスがとれている」「負担より給付がやや多い」「かなり多い」を「現状満足群」と考えました。
グラフの一番上の全体を見ると、「不満群」が69.4%で、「満足群」が14.1%となり、「不満群」が圧倒的に多い結果となっています。この傾向に男女の差はありませんでした。また、パンデミック前では、「不満群」は72.6%、「満足群」は10.8%だったので、4年を経過し、僅かではありますが、「不満群」が減り、「満足群」が増加しており、前回お示しした満足度の結果でもあったように、パンデミックを経験し、肯定的に受け止める方が多くなったと言えるかもしれません。
年齢別で見ると、各世代で中身は多少異なるものの「不満群」が多くて、その割合は70%前後となっています。ただ、年齢が上がるにつれて、負担より給付が「やや少ない」の割合が増え、「かなり少ない」と答える人の割合は減少しています。それでも「現状不満群」とすると、世代間の違いはありません。満足群については、世代によるバラツキはあるものの一番少ない40代の9.8%から、最も高い60代の19.1%まで、一定の割合で、負担に対する給付のあり方を認める方がおられます。今後、高齢化が進む一方で、生産年齢人口が減少することで、負担を担う世代であり、現場でケアに従事する世代でもある年齢層の人口の減少が予測され、社会保障制度の持続可能性について、危惧する意見も出ています。厳しい環境を乗り切るための方策について、早めに国民的な議論を進める必要性を強く感じています。
文 島田 永和(羽曳野市)