TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

第45回 大阪の医療と福祉を考える公開討論会

府医ニュース

2025年2月5日 第3098号

楽しみと危険の境界線 ――ゲーム依存やギャンブル依存から抜け出すために

2月11日(火・祝) 13時30分~ YouTubeで配信スタート

 大阪府医師会は、昭和56年以来、府民らを対象に「大阪の医療と福祉を考える公開討論会」を開催している。近年は多くの市民に正しい健康情報を届けたいとの観点から、動画配信サイト(ユーチューブ)を活用。今回もオンラインで公開討論会の模様を配信する。

 「ゲーム依存」「ギャンブル依存」「スマホ依存」などの依存症は、老若男女問わず多くの人が直面する深刻な問題と言っても過言ではない。ゲームやギャンブルは娯楽として広く認知されている一方で、依存症に陥ると人生をむしばむ重大な危険を含んでいる。本討論会では、依存する背景や抜け出すための方法などを探る。
 シンポジウムでは、依存症のメカニズム、影響、予防策等について専門家が講演。「医療現場から見た現実」を伝える。また、依存症からの脱却を目指すための具体的な方法や支援についても詳細に紹介する。
 スマートフォンをはじめとするデジタル機器が急速に発展し、若年層にとって魅力的なツールが増える中、楽しみと危険の境界線を正しく理解し、健全な生活を維持するための知識と手段を認識することが大切だ。
 依存症に造詣の深い専門家の解説を軸に、市民を代表するゲストの意見も交えた意見交換の模様を伝える。視聴者が、今一度振り返り、学べる討論会となっている。

専門家の講演と意見交換で展開

 パネリストとして、ゲーム依存症治療の第一人者である国立病院機構久里浜医療センター名誉院長・顧問の樋口進氏、学校医・小児科医の立場から森口久子理事、小学生の子どもを育てる親の立場からタレントの浅尾美和氏が登壇。三ツ廣政輝MBSアナウンサーの進行の下、それぞれの立場から意見を述べた。
 最後に、広報担当の大平真司理事が討論会の総括を行う。

公開討論会の模様発信の日程

 公開討論会の模様は、2月11日午後1時30分から配信する。3月24日には、森口理事が、MBSラジオ「ばんぱく宣言われら21世紀少年団」の中で、討論会の内容を振り返る。また、動画配信開始にあわせて、2月下旬には毎日新聞朝刊において採録記事を掲載する。詳しくは、府医ホームページを参照願いたい。

〈パネリスト〉
「ネット・ゲーム依存の対応と予防」
樋口 進・国立病院機構久里浜医療センター名誉院長・顧問

 臨床データを基に、インターネット・ゲームに依存していく背景要因と依存のリスクを提示。ネット・ゲーム依存の若年化に警鐘を鳴らす。
 依存への予防策として、子どもにスマートフォンなどを持たせる際に子どもと一緒に考えるべきルールや、治療が必要となった場合の改善のポイントを解説。久里浜医療センターで行われている集団認知行動療法やキャンプなどを紹介し、気になる場合の早期受診を訴える。
〈専門領域〉●臨床精神医学
      ●アルコール関連問題の予防・治療・研究
      ●ゲーム・ギャンブル障害等の行動嗜癖の予防・治療・研究

「ネット環境における子ども達の育ちと学び」
森口 久子・大阪府医師会理事

 学校医・小児科医の立場から、身体の発育途中でデジタルツールを使用することで生じる、視力・聴力・姿勢など身体への影響を解説し、それらがもたらす心理的な側面にも注意を促す。
 現在国が進める学校現場におけるICT化のメリットとデメリットに触れ、より良い環境整備が行われるような今後の展開に向けて見解を示す。
〈専門領域〉 小児科
 自院では、専門の小児科だけではなく、高齢者まで幅広く診療し、かかりつけ医として地域医療の一端を担う。大阪府医師会では学校保健の担当理事として、発達段階の子ども達の成長がより良いものとなるよう活動を続ける。

「子を持つ親の立場から」
浅尾 美和さん(タレント)

 2人の小学生の子どもを持つ母親として、子どもとの日頃のやり取りや、子どもが通う学校の様子を通して、スマートフォンをはじめとするデジタルツールをどのように活用していくべきかを語る。専門家の講演に熱心に耳を傾け、普段感じる疑問を投げかける。自身のスマホの使い方を振り返りながら、子どもが使用する際に気を付けるべきポイントに理解を深める。
〈プロフィール〉
日本の元プロビーチバレー選手。趣味は、スポーツ観戦・映画鑑賞・音楽鑑賞、体を動かすこと、子どもと遊ぶこと。テレビやコマーシャルにて活躍中。