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医師・医療関係者のみなさまへ

個別疾患(難病)の在宅医療研修会

府医ニュース

2025年2月5日 第3098号

在宅療養難病患者の支援に向けて

 大阪府医師会は令和6年11月7日午後、府医会館で「個別疾患(難病)の在宅医療研修会」を開催。ウェブとの併用で、医療従事者や行政職員ら約120人が出席した。
 近藤浩之氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が座長を務め、前川たかし理事が開会あいさつ。難病患者を地域で支えるには、介護や障害福祉サービスの包括的な導入が必要であり、医療・介護連携のさらなる強化が重要と強調。本研修会が難病患者の充実した在宅療養の一助になればと力を込めた。
 はじめに、坂口学氏(大阪難病医療情報センター長)が、「地域の在宅医療やケアの向上を支援する大阪難病医療ネットワークの取り組みについて」と題して講演した。まず、指定難病や大阪府の難病医療対策の変遷を概説。大阪難病診療拠点病院(14病院)、分野別拠点病院(3病院)、協力病院(12病院)が中心的役割を担う「大阪難病医療ネットワーク」について解説した。正確な早期診断、身近な医療機関での適切な治療や療養支援を行うことで、地域の在宅医療ケアの向上を目指していると語った。また、医療資源の配分、医療救護活動などの統括、調整を行う災害医療コーディネーターなどの役割を担っていると加えた。
 続いて、野正佳余氏(大阪難病医療情報センター難病医療コーディネーター)が、「ライソゾーム病に対する在宅酵素補充療法とIRUDで解析診断後の希少難病患者への支援の実際」をテーマに登壇した。野正氏は、希少難病患者への支援として在宅酵素補充療法を紹介。自宅での酵素製剤の点滴はストレス軽減、通院の苦痛がないなどのメリットがある一方で、▽希少難病への周りの理解と対応▽薬剤供給問題▽費用負担額――など問題は山積していると指摘した。さらに、遺伝子検査によって未診断疾患の原因の究明をするIRUD(未診断疾患イニシアチブ)や、解析診断後の支援などを説明。新たな治療を広く普及させ、地域での継続した治療などを担う「大阪難病医療ネットワーク」の発展に期待を寄せた。