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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2025年2月5日 第3098号
大阪府医師会は令和6年10月5日午後、大阪産婦人科医会との共催で、周産期医療研修会を開催した。第3回となる今回は、「RSウイルス感染―新たな展望―妊娠期から予防する」をテーマに2題の講演を実施。府医会館とウェブの併用で医療関係者ら約250人が聴講した。
開会にあたり、笠原幹司理事があいさつ。今回のテーマであるRSウイルスは成長過程でほぼすべての子どもが感染すると述べ、重症化の予防などを学ぶ機会にしてほしいと期待を寄せた。
座長は中本収氏(大阪市立総合医療センター産科部長)と隅清彰氏(石井記念愛染園附属愛染橋病院小児科部長)が務め、まず奥野英雄氏(大阪市立総合医療センター小児救急・感染症内科医長)が、「PICU(小児集中治療室)に入院した重症RSウイルス感染児」と題して講演した。RSウイルス(RSV)は、主に乳幼児の急性呼吸器感染症の原因となり、2歳までに1度は罹患することが多いと説明。リスクファクターとして、▽生後6カ月未満▽慢性肺疾患・喘息の小児▽在胎35週以下▽先天性心疾患――などを挙げた。また、自院の生後6カ月以下でのPICU(小児集中治療室)入院症例を紹介。①新生児・乳児期早期の無呼吸発作②RSVによる様々な呼吸器障害③院内感染症の側面④先天性心疾患に対する侵襲性――に関する症例を解説し、RSVワクチンの重要性を伝えた。
続いて、森内浩幸氏(長崎大学病院小児科長、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科/熱帯医学・グローバルヘルス研究科教授)が、「RSウイルス――なぜ恐い、どう防ぐ:妊婦へのワクチンと児へのモノクローナル抗体」と題して登壇した。森内氏は、重症RSウイルス感染症の実態調査結果を示し、「すべての乳児がハイリスク」だと強調。今年度から使用可能になった受動免疫法として、妊婦を対象としたRSVワクチンと乳児へのモノクローナル抗体製剤(ニルセビマブ)を紹介した。特にニルセビマブは、健康な乳児にも広く用いた国や地域で、RSウイルス感染症による入院を8~9割も減らすことができたと報告。日本でもこれらの受動免疫法を広めることが今後の課題だと訴えた。