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医師・医療関係者のみなさまへ

東大阪市民健康フェスタ2024

府医ニュース

2025年1月29日 第3097号

河内医師会在宅医療講演会を開催

 令和6年11月3日に東大阪市内で「東大阪市民健康フェスタ2024」が開催された。秋晴れの中、五島淳・東大阪市公衆衛生協力会長(枚岡医師会長)と田中健司・同市健康部長のあいさつで始まった。公衆衛生協力会各会員団体による16のコーナーでは、▽歯とお口の健康相談▽血流測定▽生活習慣病相談▽骨密度測定▽助産師によるコーナー▽認知症予防のはり体験▽食に関する展示▽薬物乱用、COPD・禁煙、アルコールやストレスに関する展示――などの趣向を凝らした出店に多数の来場者があった。
 今回担当の河内医師会は在宅医療講演会を開催し、市民や医療関係者など175人が参加した。開会あいさつで佐堀彰彦・河内医師会長は休日に参加いただいた皆様に謝意と講演会の趣旨を伝えた。
 第1部は尾﨑仁・河内医師会副会長が「在宅医療推進のための地域包括ケアシステム――河内における認知症支援事業」と題し講演。東大阪市48万人中、認知症高齢者推定数は1万9千人以上と説示し、加齢による物忘れとの違いや記憶、実行機能の障害などの中核症状、妄想徘徊などの周辺症状とその経過を述べた。また、認知症の中でもアルツハイマー型が多く、原因の一つであるアミロイドβの蓄積は数十年前から始まっていると言及。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、NMDA受容体拮抗薬をはじめ2023年に承認されたアミロイドβモノクロナール抗体レカネマブについて最新の治療を解説した。予防には運動や栄養、人とのつながりが重要とし、認知症初期集中支援チーム(オレンジチーム)を紹介。東大阪市では医師会や教育委員会、警察、地域包括支援センターなど様々な組織が協力して認知症支援事業を行っていると述べた。
 続いて、河内医師会訪問看護ステーションの乾京子氏が「独居で難病・認知症のある利用者の意思決定を支える――訪問看護での事例を通して」と題して講演。パーキンソン病に認知症を伴う利用者との17年もの関わりを紹介し、弟の協力や多職種で生活を支えることで、最期まで自宅で過ごしたいという願いを叶えることができたと語った。その上で、在宅は無理との決めつけでなく、どうしたら家で安心して暮らせるのか考えるACP(人生会議)の重要性を伝えた。
 第2部では、僧侶で公認心理士の佐々木慈瞳氏が「よくいきはじめ――自分らしいゴールへ」と題して講演した。佐々木氏は、何のために生まれて何をして生きるのか、自分のゴールを見つけるため、医療でもゴールを共有することが重要であると強調。自分らしく暮らす仕組みが地域包括ケアシステムであり、どんな小さなことでも専門家に相談できると伝えた。そのために大事なことを「よくいき」という言葉で解説。自分のしたいこと、欲ばりで粋な自分「欲粋」を皆に伝え、自分らしくどこまでも成長し続ける「善く生き」、失っても自分の生き方が誰かの生き方を支える「良く逝き」について、自身の経験と患者や家族の話しを交え分かりやすく説いた。さらに、手作りのキャラクター〝よくいきちゃん〟も配布され、会場からは笑顔や涙が随所で見られた。
 最後に西岡良泰・河内医師会副会長のあいさつがあり、盛会のうちに終了した。

報告 河内医師会 長谷川 昌史