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時事

2040年に向けての検討

府医ニュース

2025年1月29日 第3097号

「地域差」とどう向き合うか

 1月9日、厚生労働省「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会の第1回会合が開催された。過去、2005年から2015年までの10年間は、高齢化の「最後の急な上り坂」と表現され高齢化の〝速さ〟が課題となり、その後、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年に向かっては、高齢化率の〝高さ〟(高齢者数の多さ)が問題となった(2025年問題)。今回の検討会では、2040年に向けて〝人口減少スピード(高齢者人口の変化)が地域によって異なる〟中での、介護・福祉サービスの維持を主題としている。
 日本の人口は、2040年には約1億1千万人に減少すると推計されている。地域別にみると、2025年から2040年の間で、生産年齢人口はほぼすべての地域で減少し(大都市で平均▲11.9%、地方都市で同▲19.1%、過疎地で同▲28.4%)、高齢人口は都市部では増加(平均17.2%)、地方都市では微増(同2.4%)、過疎地域では減少(同▲12.2%)が見込まれている。65歳以上人口は、847市町村(49%)ですでに2020年以前にピークを迎えている。
 介護保険サービスでは、在宅・施設とも、全体の利用者数は2040年にピークを迎える見込みである。ただし、すでに2024年までにピークを迎えた保険者も、在宅で313(19.9%)、施設で256(16.3%)を数えている。ちなみに大阪府内では、在宅では2035年、施設では2040年に利用者数が最大と見積もっている保険者が多い。
 このような地域差を踏まえ、厚労省は今後の介護サービスモデル構築や支援体制の検討にあたり、時間軸・地域軸の両視点が必要とした。すなわちサービス需要が、①すでに減少局面に入っている「中山間・人口減少地域」②2040年以降も増加見込みの「都市部」③当面増加するがその後減少に転じる「一般市等」――の3類型を提示。①では、需要減少に応じた過不足ないサービス基盤を課題とし、補助や報酬体系、地域における中心的なサービス提供主体や自治体の役割、支え合いの強化、事業者間の連携、協働化・大規模化、共同購入や人材育成・研修の共同実施など事業者間の協力を論点に挙げた。②では、需要の急増に応じたサービス基盤や住まいの確保を課題とし、独居高齢者の急増に対応するためのICTやテクノロジーサービスとの組み合わせ、様々な主体が役割分担してのサービス供給、相談支援を論点とした。③においては、需要が当面増えた後、減少に転じる。提供体制の変化が課題とし、現在の提供主体が中心となって、需要に過不足なく対応するための方法を論点に掲げた。
 今後は、▽介護人材確保・定着、テクノロジー活用等による生産性向上▽経営支援▽介護予防・健康づくり、認知症ケア――なども課題に、他の福祉サービスも含めて検討、夏をめどに取りまとめる予定となっている。
 日本全体として人口が減少する中、人口変化の地域格差は、介護のみならず、医療はもちろんすべての分野に大きな影を落としている。様々なサービス従事者にも地域での生活がある。地域の持続性が、丸ごと問われている。(学)