
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
時事
府医ニュース
2025年1月15日 第3096号
令和6年12月19日に第190回社会保障審議会医療保険部会が開催され、医師偏在対策について議事が行われた。それを受けて厚生労働省は12月25日に医師偏在の是正に向けた総合的な対策を公表した。
実効性のある総合的な医師偏在対策を推進し、医療法に基づく医療提供体制確保の基本方針に位置付けるとした。具体的には、今後も一定の定住人口が見込まれるものの、必要な医師が確保できず、人口減少よりも医療機関の減少スピードの方が速い地域などを「重点医師偏在対策支援区域」と設定した上で、優先的かつ重点的に対策を進める。都道府県において、医師確保計画の中でより実効性のある医師偏在対策の取り組みを進めるため、重点医師偏在対策支援区域を対象とした医師偏在是正プランを策定することとする。
対策の一つは、管理者の要件として医師少数区域等における一定期間の勤務経験を求める対象医療機関について、医療法第31条において医師の確保に関する事項の実施に協力すること等が求められている公的医療機関および国立病院機構・地域医療機能推進機構・労働者健康安全機構が開設する病院を追加する。また、医師少数区域等での勤務経験期間について、現行の6カ月以上から1年以上に延長する。
一方、外来医師過多区域における新規開業希望者に対して、医療法に基づき、開業の6カ月前に、提供する予定の医療機能等を記載した届出を求めた上で、地域で不足している医療機能(夜間や休日等における地域の初期救急医療、在宅医療、公衆衛生等)の提供や医師不足地域での医療の提供を要請することができることとする。実効性を確保するための仕組みとして、要請に従わない開業者に対して、都道府県医療審議会での理由等の説明を求めた上で、勧告を行い、従わない場合は公表を行うことができることとする。さらに、開業前に要請された診療所が当該要請後に保険医療機関の指定を受けた場合は、厚労大臣が行う保険医療機関の指定について、指定期間を6年でなく3年とする。なお、指定期間が3年となった保険医療機関が3年後の更新を行う際に、厚労大臣はさらなる勧告を受けた保険医療機関の指定期間を3年未満とすることを可能とする。あわせて、要請または勧告を受けたことの医療機能情報提供制度による報告・公表、都道府県のホームページ等での勧告に従わない医療機関名や理由の公表、保健所等による確認、診療報酬上の対応、補助金の不交付等を行う。
各保険医療機関に運営管理の責任者として管理者を設け、医師は2年の臨床研修および保険医療機関(病院に限る)において3年の保険診療に従事したことを要件とし、従業者の監督や当該機関の管理および運営の責務を課す。
いわゆる「直美」に対する抑止を含めて、以上の実施で効果が出るであろうか。(中)