TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年12月25日 第3094号
小児在宅医療研修会が10月31日午後、オンラインで開かれた。本研修会は「小児の在宅医療に取り組む医師の増加」に主眼を置き、地域での連携体制構築を目指す。研修会後、約1カ月にわたりホームページでアーカイブ配信も行った。
今回は、「地域における〝医療的ケア児(者)まんなかチーム〟の一員になろう!」をテーマとした。はじめに前川たかし理事があいさつ。医療の発達で医療的ケア児が増加する中、社会全体で支援することが求められると述べた。また、医療的ケア児の状態は多様で個別性が高く、家族への負担も大きいと指摘。社会的資源の限界や災害時対応など様々な課題が山積しているが、地域で多職種が連携して取り組むことが大切だと語った。
当日は、①「大阪府医療的ケア児支援センターの活動」望月成隆氏(大阪母子医療センター新生児科部長)②「小児在宅医療の現状」楠木重範氏(遊育園こどもクリニック院長)③「心身障害児の経年的な変化と、変形・拘縮による二次障害」中谷勝利氏(堺市立重症心身障害者〈児〉支援センターベルデさかいセンター長)④「(年長児の問題)移行前カンファレンスの実際――好事例から学ぶ」位田忍氏(府医小児の医療的ケア検討委員会委員長/大阪母子医療センター臨床検査科主任部長)――の4題の講演を実施した。
望月氏は、自院での医療的ケア児の診療の様子を示すとともに、医療的ケア児支援センターに寄せられる相談内容から、同センターに求められる機能や今後の課題を伝えた。楠木氏は、医療的ケア児の在宅医療現場を詳しく解説。自身の経験も踏まえ、「一人でも多くの医師に協力してほしい」と呼びかけた。
中谷氏は、脳性麻痺児の側彎例を提示し、咽頭・気管の狭窄など二次障害を説明。脊柱の変形を最小に留める予防的な対応が重要になると促した。位田氏は、移行期は「小児期から成人期まで続く慢性疾患の一時期」と前置き。カンファレンスの実施で小児診療科・成人診療科の共通理解が深まり、福祉関係情報も共有することで患者と家族が安心して過ごす基盤をつくることができると説いた。