TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

拡大鏡

府医ニュース

2024年12月25日 第3094号

 ◆琉球民族発祥の地とされる本島東部島尻を歩く。深い緑に沈むグスク(城跡)を巡る。稲作発祥の地とも伝えられる。集落から遠い森に、水田がポツンと。
 ◆青々とした水田に囲まれた集落というイメージとは趣が異なる。マラリアを避けるために、わざわざ集落から離れた森に水田を造ったと聞く。農作業への遠足の道、豊かな森で食材となる動植物を得たそうだ。厳しい自然に暮らす苦心と智恵に思いをはせる。
 ◆WHOなどが気候変動による健康への影響を分析した。20~50年前の平均気温よりも0.6度高くなった。熱中症など暑さに起因する疾患が増えただけではない。デングウイルスを運ぶ蚊の活動期間が長くなり、感染リスクは、半世紀前に比べ12%増となった。
 ◆熱帯地域で病原体を運ぶ蚊が、ほどなく日本にも現れるかもしれない。気候変動と医療の意外なつながりに備えなければならない。一方で、識者は「気候変動に適応するよう行動を変えねばならない」とも。沖縄の人々の苦心と智恵を学ぶことも大切と。(翔)