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第159回エイジレス健康講座

府医ニュース

2024年12月18日 第3093号

肝臓は「沈黙の臓器」疾患の早期発見を

 大阪府医師会はATCエイジレスセンターと共催し、11月9日午後に第159回エイジレス健康講座を同センター(大阪市住之江区)で開催した。近隣住民など約30人が参加し、脂肪肝について学んだ。
 この日は、廣原淳子氏(大阪府女医会理事)が、「気にしてください――あなたの脂肪肝」と題して講演。はじめに、肝臓の機能について説明。肝硬変の原因は約10年前までは約60%が肝炎ウイルスだったが、近年では約30%程度に減少し、50%はアルコールや脂肪肝によるものだと述べた。現代の日本では、成人の約3分の1が脂肪肝であるが、自覚症状がないため放置している人も多いと憂慮。脂肪肝は、肝臓がんだけでなく他のがんも発症する危険性が高まると警鐘を鳴らした。また、脂肪肝の中でもさらに危険なMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)も増加傾向にあり、メタボリックシンドロームと合併しているケースが多いと加えた。
 次に、治療について解説した。脂肪肝やMASHに有効な治療薬はなく、基本的な治療法は生活習慣の改善になると指摘。肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症のコントロールが大事だと呼びかけた。廣原氏は、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期段階では症状がほとんど現れず、「気付いた時には命に関わる場合もある」と注意を喚起。健康診断の受診や、かかりつけ医に相談することで早期発見につなげてほしいと結んだ。