TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年12月18日 第3093号
11月度郡市区等医師会長協議会(令和6年度第8回)が11月22日午後、大阪府医師会館で行われた。本文は加納康至会長代行あいさつ(要旨)。
先月の郡市区等医師会長協議会で中尾先生に黙祷を捧げてから約1カ月になる。会長代行として各地区の政策勉強会や会合に出席させていただいているが、不慣れな点も多くて、至らない点などご容赦いただけると幸いである。
すでに案内しているが、中尾正俊先生を偲ぶ会を12月15日午後5時から帝国ホテル大阪で開催する。ぜひご来臨いただきたい。
中尾先生の肝煎りで始めた大阪府病院協会および大阪府私立病院協会との懇談会を、今年度は3回にわたって開催した。その内容をまとめ、11月12日に吉村洋文・大阪府知事に要望書として提出した。具体的な内容として大きく2項目を要望している。
一つは、人件費、物価高騰に対応するための支援だ。日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会が令和6年9月に公表した病院経営定期調査によると、人件費、物価高騰等の影響を受け、病院の経営状況は大きく悪化している。医業利益率、経常利益率は、ともに大幅なマイナスで確認されている。また、特定疾患療養管理料の算定区分の影響などで診療所の経営も非常に厳しい状況となっている。医療機関の安定した経営基盤があって初めて地域医療構想や地域包括ケアシステム等の議論へと進むことができるのであり、改めて、大阪府には独自の経済的支援を求めたところである。
もう一つは、地域医療介護総合確保基金の有効な活用だ。病院薬剤師の確保が難しくなっていることから、それに対する事業を創設してほしいという内容である。第8次大阪府医療計画では、超高齢社会、人口減少社会における持続可能な医療体制の構築がポイントの一つとなっており、大阪府においては、高齢化の進展による医療需要の増加を見越した医師、医療従事者の確保が喫緊の課題となっている。特に病院薬剤師は大手ドラッグストア等と比べて賃金が低いこともあり、病院に就職を希望する薬剤師は少なく、病院薬剤師の不足は深刻な状況だ。都道府県によっては地域医療介護総合確保基金を活用して奨学金返済支援事業を行っているところもあり、大阪府でも導入してほしいと要望した。
新たな地域医療構想を策定するに当たっては、在宅医療の体制整備を円滑に進めることも重要と考える。各地域で在宅医療において積極的役割を担う医療機関が24時間365日いつでも診療できる体制を整えることになるが、そのためには在宅医療に必要な連携を担う拠点が積極的医療機関と調整していくことが求められる。
一方で、診療報酬の施設基準等を踏まえると、積極的医療機関等における在宅患者の急変時の受け入れが難航する可能性も指摘されている。
11月29日には、郡市区医師会地域医療担当理事連絡協議会を開催予定である。1月下旬から各圏域で開催される保健医療協議会の前にそれらの概要等を改めてご説明させていただき、現状の問題点などの意見交換を賜りたい。
そのほか、高齢者救急への対応、紹介受診重点医療機関の選定、医師偏在対策など課題は山積みだ。先生方のご意見を頂戴しながら、各地域の実情に即した地域医療提供体制を構築していくことが重要であり、大阪府医師会としても積極的に努力していきたい。