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府医ニュース
2024年12月18日 第3093号
「令和6年10月から後発医薬品があるお薬で、先発医薬品の処方を希望される場合は、特別の料金をお支払いいただきます」――このような案内が診療所や薬局で掲示されている。長期収載品の選定療養化である。
規制改革を望む勢力は、混合診療の全面解禁を求めていた。今も「混合診療」という表現を用いず「保険外併用療養の拡大」と言い換えている。「保険外併用療養の拡大」が評価療養(将来的な保険収載を目標とした先進医療など)の拡大を意味しているのであれば保険導入される医療行為が増える可能性があるだろう。しかし、今回の選定療養化はその逆、つまり、保険診療の縮小を意味している。
保険外併用療養制度は、「評価療養」「患者申出制度」「選定療養」の3つに分かれる。「評価療養」と「患者申出制度」は、ある程度の効果と安全性は確認されているが、まだ十分に普及していない新規治療法や新薬をとりあえず中二階で認め、将来的には保険収載の可能性を残す制度である。
一方、選定療養(差額ベッドや紹介状なしの大病院受診)は「患者自身が自由意志で希望する療養」で保険の価格は制度上自由料金であり、医療機関が決めるものであった。しかし、今回の改定では、後発品のある長期収載品は公的価格としてその差額を患者が自己負担しなくてはならなくなった。これが将来、別の医療行為に適応されるとどうなるか。例えば、大腸ポリープ内視鏡切除は1つまでは保険範囲、2つ以上は選定療養、などが起こり得る。
コロナ禍前より、後発品の品薄状況が改善されないまま5年が経過しているが、そんな「薬が足りない」中、今回の選定療養化が起きた。現場の状況を考えるなら、そして、後発品使用優先に無理やり舵を切った緊縮政策そのものの訂正を行うべきではないか。
保険診療の縮小につながる、「保険診療範囲の選定療養化」、そして「患者の自己負担を増やせば公的保険制度が守られる」とのロジックには断固として反対していきたい。(真)