TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年12月4日 第3092号
大阪府医師会は10月26日午後、令和6年度大阪府在宅医療総合支援事業の一環として、心疾患患者の在宅療養支援研修会を開催。府医会館とウェブで、在宅医療・介護連携に関わる多職種ら約180人が受講した。
小田真氏(介護・高齢者福祉委員会委員)が座長を務め、前川たかし理事が開会あいさつ。心不全患者の急増に触れ、急性増悪の発生率を低減させるためにも、患者の生活そのものを支えられるよう連携することが大切だと述べた。
はじめに、岡田健一郎氏(のぞみハートクリニック院長)が、「地域で支える心不全の在宅訪問診療について」をテーマに登壇した。
まず、対応のポイントとして、①適切な心不全管理②チーム医療③意思決定支援④症状緩和⑤家族ケア――を提示。同じ患者であっても職種によって捉え方が異なるとし、多職種チーム間で情報共有や課題を検討することが大切だと説いた。さらに、心不全患者は「生活の場で悪化する」と言及。入院中にADLが低下しやすく、セルフケア能力が低くなるとした。また、転倒・骨折や介護負担など心不全以外の理由による再入院も多いため、患者の「生活をみる」重要性を強調した。あわせて、入院患者が住み慣れた自宅で人生の最期を迎えるために在宅療養に変更した事例を紹介。退院前カンファレンスの大切さを訴え、患者の多様性を理解するようアドバイスした。
続いて、井谷祐介氏(同クリニック理学療法士)が、「在宅心不全患者の訪問リハビリ」について解説した。
在宅療養患者においては、▽日常生活動作の維持▽症状緩和――が主なリハビリの目的となり、生活自体が運動になると解説。多職種が連携して患者をモニタリングしながら、適切な活動強度に調整する際の評価指標を説示した。加えて、退院後早期からリハビリを始めることで状態が改善しやすいとし、より多くの患者に切れ目のない介入ができるよう、リハビリに関するエビデンスの周知や啓発活動を進め、地域における連携を広げていきたいと語った。