TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だよりNo.120

日本の社会保障の各分野の満足度はパンデミックの前後でどう変化したか?

府医ニュース

2024年12月4日 第3092号

 調査委員会では、これまで府民や医師会員の社会保障に関する意識を知るために調査をしてまいりました。令和6年も3月にインターネットを用いたアンケートを実施しています。その結果について、数回に渡りご報告したいと思います。
 まずは府民の社会保障の医療・介護・福祉・年金という各分野に対する満足度についてです。結果については、新型コロナウイルス感染症によるパンデミック前後で比較しようと、2年4月の結果も併記しています。パンデミック期間は、2年4月7日の安倍晋三首相(当時)の緊急事態宣言発出から5年5月8日の5類感染症へ移行までの間としました。
 回答は、「満足」「ほぼ満足」「普通」「やや不満足」「不満足」「わからない」――の6つの選択肢から一つを選んでいただきました。結果は、いずれの分野でも、「満足」「ほぼ満足」「普通」までを肯定的回答、「やや不満足」「不満足」を否定的回答とまとめて考察しています。
 4年前と比較して、すべての分野で肯定的回答が増加し、否定的回答が減少しています。パンデミックをはさんでの結果であり、この変化は私達医療従事者の日頃の活動を認める方が増えたと解釈したいと考えています。その肯定的回答の割合は政府の調査と同様に、医療68.7%、福祉45.3%、介護38.2%、年金27.8%の順です。7割近い医療の満足度の高さが目を引き、先の考察を後押ししてくれているようです。
 しかし、その一方で、年金においては、他の3分野に比較して否定的回答の割合が57.0%と半数を超えています。年齢別のクロス集計では、各分野とも年齢とともに肯定的回答割合が上昇しているのですが、ことに年金では、実際のサービス受給者である60歳以上では、他の世代に比較して肯定的回答の割合は高くなっています。ただ、否定的回答についてはそれほど差がありません。切実感において、違いがあると思われる世代間比較ですから、20代、30代では「わからない」の比率が4分の1前後あって、そのための影響もあるかもしれません。
 これらの結果を総合すれば、全分野について、府民の受け止めはまずまずだと総括して良いのではないかと考えています。

文 島田 永和(羽曳野市)