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府医ニュース
2024年12月4日 第3092号
詩人の谷川俊太郎氏が亡くなった。92歳。
晩年まで旺盛な創作意欲を持ち続け、詩や絵本、翻訳など膨大な作品を残した。
訃報を聞いて思い浮かんだのは、「二十億光年の孤独」の「万有引力とは/ひき合う孤独の力である」だった。家族や友人は、詩「生きる」やレオ・レオニ「スイミー」の翻訳が教科書に載っていたとか、スヌーピーの「ピーナッツ」シリーズが好きだったとか、また鉄腕アトムの主題歌を口ずさむ者もいて、幅広い世代に親しまれていたのを実感した。
かつてのインタビューでの、「言葉は無力。みんながいろいろ言葉で平和を追求しているけれども、戦争は全然なくならないでしょ。言葉は本当に言葉に過ぎなくて、実際の現実とはなかなか関われない」や、「平和は素晴らしくて戦争は悪だみたいな2つに分けちゃって、どっちかを取るわけでしょ。でもそういう二分法というのは人間の頭脳の欠点だと僕は思っているのね」は印象に残る。さらに、SNSなどで溢れる言葉がインフレーションを起こし、認められていれば『事実』になる状況を危惧した。量ばっかりあって質がどんどん薄くなっていっている。「だからこそ、できるだけ少ない言葉で詩をつくる。とにかく自分の言葉を見つけて、それをひとつの中心にして生きていくのが一番良いと思うのね」。
平易な分かりやすい言葉で綴られた作品。言葉と言葉がつながって、通常の論理や意味を超えて、これからも私達の心に語りかけてくるだろう。(颯)