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時事

脳卒中や心臓病に関する世論調査

府医ニュース

2024年12月4日 第3092号

国の意識、国民の感覚

 11月8日、内閣府から「脳卒中や心臓病等に関する世論調査」の概要が公表された。調査は7月25日から9月1日に実施され、全国の成人1656人が回答した(有効回収率:55.2%)。
 脳卒中や心臓病(狭心症、心筋梗塞、 心不全、不整脈、大動脈解離など)に対し、性別や年代を問わず、約95%が「怖い印象」を持っていた。
 予防のための生活習慣改善について、全体で31.6%、18~39歳では55%程度が「改善しようと思っていない」と回答した。理由は「自覚症状がない」52.3%、「時間的なゆとりがない」30.2%、「経済的なゆとりがない」22.5%――と続き、「自分の健康に自信がある」も16.8%存在した。
 朝起きた時に、片側の手足の動かしにくさや喋りづらさ、あるいは、胸の痛みや呼吸の苦しさが現れていた場合、救急車を呼ぶまでの時間は、「すぐに」76.5%、「午前中は様子をみてから」10.3%、「我慢できなくなったら」5.6%、「夕方までは様子をみてから」1.0%となっていた。「すぐに」の割合が最も低かったのは30~39歳で60.4%、最も高かったのは70歳以上で85.2%だった。
 すぐに呼ばない理由は、「少し様子をみてから判断したい」66.7%、「緊急性があるかどうか分からない」51.3%、「症状が軽い場合は、タクシーなどで受診すればよい」39.0%――と続き、「救急車を呼ぶことが恥ずかしい」は、全体では6.7%にとどまったものの、60~69歳では、14.3%存在した(70歳以上では6.2%)。
 脳卒中や心臓病の主な危険因子として、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、不整脈、慢性腎臓病などがあると示した上で、予防を目的として病院を選ぶ際、どこから情報を入手しようと思うかには、「かかりつけ医からの紹介」68.1%、「病院のホームページ」41.8%、「家族・友人・知人からの紹介」39.2%――の割合が高く、「LINE、FacebookなどのSNS」は11.6%と低かった。ただし、18~39歳では2割以上に達していた。ちなみに、本調査において〝かかりつけ医〟の文言が登場するのは、この〝予防のための病院紹介〟の選択肢のみである。
 日本の社会が、発症後にも働き続けられる環境だと思うかの問いには、「そう思う・どちらかといえばそう思う」は、脳卒中で21.6%、心臓病で29.8%にとどまった。理由は、前者は「後遺症に対する職場の環境が整っていない」75.6%、後者は「負担の少ない業務への配置転換が難しい」61.2%と、いずれも職場環境の問題がトップになっていた。
 「患者・市民参画(治療の研究開発や政策に、患者や家族、市民の経験を活かしていこうとする取り組み)」に参加したいと思うかについては、「思う」11.8%、「どちらかといえば思う」42.8%、「どちらかといえば思わない」29.0%、「思わない」13.9%、となっていた。「思う(どちらかといえばを含む)」は、女性が男性より多く(57.7% 対 51.3%)、40~49歳代の過半数、30~39歳、50~59歳の半数近くが「思わない(同)」と答えていた。
 様々な意味で、示唆に富む調査となっている。(学)