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医師・医療関係者のみなさまへ

後期高齢者のフレイルに関する医師向け研修会

府医ニュース

2024年12月4日 第3092号

かかりつけ医による早期発見・介入が大切

 大阪府医師会は10月29日午後、令和6年度大阪府後期高齢者医療広域連合委託事業の一環として、後期高齢者のフレイルに関する医師向け研修会を開催した。府医会館とウェブのハイブリッド形式で実施され、郡市区等医師会の担当理事ら67人が受講した。

 澤井貞子理事は開会あいさつで、当研修会が府医ホームページで視聴可能である旨を伝え、日頃の医療活動に役立ててほしいと呼びかけた。
 講演ではまず、東真由美氏(大阪府後期高齢者医療広域連合給付課長)が、「6年度高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の進捗状況」に関する実績や課題などを説明。フレイル対策としては、低栄養や誤嚥性肺炎、転倒・骨折の予防を全市町村共通の課題として重点的に取り組みたいと協力を要請した。
 次いで、宮田重樹氏(全国ストップザロコモ協議会副理事長)が、「フレイル対策におけるかかりつけ医の役割――運動指導」と題し登壇した。適度な運動は診療科を問わず疾患に改善をもたらすと述べ、運動指導の大切さを強調。膝や腰の痛みには、特別な道具を用いずに行えるロコモーショントレーニング(ロコトレ)が有効とし、▽スクワット▽ヒールレイズ▽片脚立ち――などにおける身体の適切な動かし方や指導方法を解説した。さらに、足腰への負担が少ないウォーキングについて説明。日常診療にロコトレを取り入れ、高齢者の自立維持を支えていきたいとした。
 続いて、「かかりつけ医が見逃さない後期高齢者のフレイル」をテーマに、山本浩一氏(大阪大学大学院医学系研究科老年・総合内科学教授)が講演した。かかりつけ医がフレイルを早期発見して介入することで、要介護状態への移行を遅らせることができるとし、発見に有用な「後期高齢者の質問票」を説示。フレイルにおける身体的・心理的・社会的側面を理解し、各質問の背景を考慮しながら多面的に対応するようアドバイスした。また、運動療法に加えて、タンパク質の摂取による筋力の維持など栄養療法を組み合わせることも効果的だとした。
 なお、本研修会の模様は府医ホームページでも公開している。動画の視聴にはID・パスワードが必要なため、府医地域医療1課(電話06―6763―7012)まで問い合わせいただきたい。