TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年11月27日 第3091号
大阪府医師会は10月9日午後、府医会館で第2回医療問題研究委員会を開催。委員ら42人が出席した。
栗山隆信理事の開会ではじまり、澤芳樹副会長が、「先端医療のNext Stage」と題して講演した。澤副会長はまず、日本における心臓手術の歴史を概説。1956年に日本初の人工心肺を用いた開胸手術の実施以降、より低侵襲で術後の回復が速く、高いQOLの提供を目指して心臓手術が進展してきたと振り返った。今では浸透しているハイブリッド手術室の誕生や、大阪発のステントグラフト治療にも触れ、大阪で治療を発展させる使命があったと回顧した。さらに大阪大学心臓血管外科が執刀する心臓手術においては、術後30日の死亡率が2000年初頭の4%から、近年では0.5%程度までに低下していると報告。低侵襲手術は着実に実績を重ね、どの病院でも同様の成績だと補足した。
一方で、国内の法令整備の遅れから心臓移植が前進しない葛藤を明かした。課題はドナー数が心臓移植待機者数に対して、圧倒的に少ないことだと指摘。移植待機期間については、アメリカの1カ月に対して日本は5年だとし、待機中に亡くなる人が移植を受けた人より多いことは、移植医療が進んでいない典型だと述べた。
また、今後日本においても韓国のように、脳死患者が出た際の斡旋機関への通報制度が義務化されるのではと見通した。さらに、心臓移植を受けるレシピエントの選択基準の整理の必要性や、心停止ドナーからの提供などについて言及した。
心臓移植で当たり前に命が助かる国にしたいと思いつつ、なかなか進まないと語り、心臓移植と再生医療の両方が確立することで、もっとたくさんの人が救われると訴えた。
講演後の意見交換では、▽働き方改革における若手医師のトレーニングや職員の勤務管理とスマート化▽選定療養の仕組み▽DXにおけるエコノミカルな視点▽在宅医療における病院と在宅の連携――などが話題となり、澤副会長が見解を示した。