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時事
府医ニュース
2024年11月27日 第3091号
令和6年11月7日に第185回社会保障審議会医療保険部会が開催され、社会保険診療報酬支払基金(支払基金)の抜本改組について議事が行われた。
5年6月2日の医療DX推進本部による医療DX推進に関する工程表において、医療DXに関連するシステム全体を統括し、機動的で無駄のないシステム開発を行う必要があるため、オンライン資格確認等システムを拡充して行う全国医療情報プラットフォームの構築、および診療報酬改定DX等本工程表に記載された施策に係る業務を担う主体を定める。支払基金が行っているレセプトの収集・分析や、オンライン資格確認等システム基盤開発等の経験やノウハウを生かす観点から、支払基金を審査支払機能に加え、医療DXに関するシステムの開発・運用主体の母体とし、抜本的に改組する。改組にあたっては、絶えず進歩するIOT技術やシステムの変化に柔軟に対応して一元的な意思決定が可能となる仕組みとするとともに、既存の取り組みを効果的に取り入れられるよう、体制を構築する。この観点から、具体的な組織のあり方、人員体制、受益者負担の観点を踏まえた公的支援を含む運用資金のあり方等について速やかに検討し、必要な措置を講ずる。
6年6月21日閣議決定の「経済財政運営と改革の基本方針2024」において、医療DXに関連するシステム開発、運用主体として、支払基金について、国がガバナンスを発揮できる仕組みを確保するとともに、情報通信技術の進歩に応じて、迅速かつ柔軟な意思決定が可能となる組織へと抜本的に改組するとした。
支払基金の改組に関する基本的な考え方については、審査支払機能を適切に維持することが前提であり、①審査支払機能の独立性を引き続き確保するとともに、医療DX関連業務への国のガバナンスを発揮する体制とする②行政の肥大化につながらないようにするとともに、支払基金が特別民間法人であることを踏まえたものとする③情報通信技術に関して高度かつ専門的な知見を有し、技術の進歩や変化に柔軟に対応しつつ、一元的な意思決定が可能となる体制とする――となっている。
法人の目的として、以下を加える。医療DXの推進により、医療の質の向上、医療機関・保険者等の業務効率化等の医療の効率的な提供に資する業務を実施する。医療DXの基盤の整備・運営を担う旨を法律に規定する。法人の業務として、現在実施している医療DX関連業務および電子カルテ情報共有サービス等の新たな医療DX関連業務について、支払基金法上に規定する。
政府の医療DX工程表を踏まえ、厚生労働大臣が「医療DX総合確保方針(仮称)」を定め、支払基金は「医療DX中期計画(仮称)」を定める。組織体制は現行の理事会に代えて、新たな意思決定機関として、学識経験者・被保険者、保険者(地域保健・地域行政代表を含む)、診療担当者の体制で構成する「運営会議」(仮)を設置する。審査支払業務については、新たに「審査支払運営委員会」(仮)を設け、これまでの理事会と同様の4者構成16人体制で運営し、運営委員は法人の役員とする。
医療DXの推進体制については、理事長・理事の中に、情報通信技術に関する高度かつ専門的な知識を有する理事(CIO)を加えることとする。医療DX関連業務については、運営会議における全体方針の決定を受けて、理事長・CIO等が中心となって、執行していく体制とする。大変革であり、医師会の参画は必須と考える。(中)