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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年11月20日 第3090号
大阪府医師会は9月19日午後、大阪市内のホテルに釜萢敏・日本医師会副会長を招き、講演会を実施した。会場には郡市区等医師会長をはじめ、会員や医療機関従事者など約320人が来場。同氏から日医の新型コロナウイルス感染症に関する対応や、令和6年度診療報酬改定を巡る取り組みなどが述べられた。
栗山隆信理事の司会で開会し、はじめに中尾正俊会長があいさつ。続いて、釜萢・日医副会長が、「新型コロナウイルス・診療報酬改定を巡る財務省との攻防の裏側」と題して講演した。
釜萢・日医副会長は今年6月22日に開催された第156回日医定例代議員会で副会長に就任。医療政策や医療保険、感染症危機管理対策などを所管している。常任理事時代には新型コロナウイルス感染症への対応に主担当として尽力。政府の新型コロナウイルス感染症対策専門会議や厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード構成員なども務めた。
新型コロナの現状に関しては、7月に入って新規感染者数が急増したが、「第30週(7月22日~28日)をピークに減少傾向」と指摘。都道府県別定点あたりの報告数、入院患者の概況にも触れ、「11波は落ち着く方向」と見通した。
10月からの新型コロナワクチンの見込み供給量なども解説。新たに承認されたレプリコンワクチンは経験がなく、注視していくことも必要とした。
感染拡大時に日医として取り組んだ活動を振り返り、「オールジャパンで取り組めた」と胸を張った。また、今後のパンデミックへの備えとして、「診療所における新興感染症対策」を立ち上げたと紹介した。感染症法の改定で有事の際には相応の対応が求められることになるが、「無理のない範囲での運用でなければならない」と強調。本研修で診療所の新興感染症への対応力が一層向上することを期待したいと述べた。
診療報酬改定は、予算編成を通じて内閣が改定率を決め、社会保障審議会(医療保険部会・医療部会)が策定する「診療報酬改定の基本方針」に基づき、中央社会保険医療協議会(中医協)で具体的な項目を決定する。この基本方針を策定する際に、いわゆる骨太の方針、財政制度等審議会「建議」が大きく影響を与えると釜萢・日医副会長は語る。
6年度診療報酬改定を巡っては、「秋の建議」による「診療所の報酬単価5.5%引き下げ、改定率マイナス1%」がスタートであったと説明。医療従事者の処遇改善を旗印に全国各地で診療報酬引き上げの論陣を張ったと明かした。その結果として、0.88%の改定率につながったものの、「ベースアップ評価料」の届出が、手続きの煩雑さや誤解も重なって低調な状況だと懸念を示した。日医ホームページのメンバーズルームに同評価料の届出に際して役立つ情報を掲載しているとして、積極的な算定を呼びかけた。
最後に加納康至副会長が登壇。釜萢・日医副会長のさらなる活躍に期待を寄せ、閉会となった。
本日、釜萢敏・日本医師会副会長の講演会を開催したところ、多く先生方に足を運んでいただき、まずは感謝申し上げたい。
国民皆保険制度を基盤とした社会保障を持続可能なものにするには、安定した医療機関の運営が重要になる。経営の安定化が医療従事者の処遇改善につながり、医師が安心して診療できる環境を守ることになる。国民に安全で安心な医療を提供し、国民の命と健康を守るための活動を続けていかなければならない。
本日の講演では、釜萢・日医副会長に新型コロナウイルス感染症への対応や令和6年度診療報酬改定を巡る日医の動きをお話しいただくこととしている。政府や国会議員への要望などあまり目に触れることのない医師会活動もあることをご理解いただき、組織強化の一助にできればと期待している。