TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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調査委員会だよりNo.119
府医ニュース
2024年11月6日 第3089号
令和6年3月に大阪府民を対象に実施した「社会保障や少子化に関する調査」の中で、「国民皆保険制度」の今後について、「医療の高度化や人口の高齢化のために社会保障財政は厳しい状況にあります」との説明を付した上で、「存続させるべきと思うか、思わないか」、「存続可能と思うか、思わないか」を尋ねました。それぞれの質問には「わからない」(すなわち、判断保留)の選択肢も用意しました。
この2つの質問の「クロス集計結果表」をご覧ください。「存続させるべきと思う」かつ「存続可能であると思う」が30・5%であったのに対し、「存続させるべきか否か判断保留」かつ「存続可能か否か判断保留」は27・8%、および「存続させるべきと思う」かつ「存続可能か否か判断保留」は22・2%であり、あわせて50%でした。すなわち、府民の半数が当制度の支持・存続可能性について判断を保留していると推定されました。
我が国の「国民皆保険制度」については、今後未来に向けてより良いものにしていくためには、改善しなければならない問題点が多々あることは事実と思いますが、「この制度は国民の幸せのために存続すべきである」との考えを否定する有識者は皆無であろうと思われます。しかしながら、その将来に対して、判断を保留している府民が半数にも達することは憂慮すべき事態であると考えます。「専門職能集団の社会的責任」(脚注)が、この人々の判断保留を解き、この制度を支持・存続させるために、必要とされていると思いました。
出典:島崎謙治2022「日本の医療―制度と政策―[増補改訂版]」東京大学出版会、502頁
文 鈴木 隆一郎(大阪府庁)