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時事

電子処方箋医療機関普及率の伸び悩み

府医ニュース

2024年11月6日 第3089号

Amazonファーマシーの是非

 令和5年1月から電子処方箋が運用開始され、6年10月6日時点でオンライン資格確認システムを導入した薬局(6万70施設)における電子処方箋の運用割合が50%(3万264施設)を超えた。対して病院2.17%(173施設/7990)、医科診療所5.63%(4607施設/8万1869)、歯科診療所0.39%(236施設/6万657)、全体では16.75%となる。紙、電子双方の処方箋に早期に対応する必要性がより高いのは薬局であるが、それを考慮しても診療医療機関と薬局の導入率に現状では大きな差がみられる。9月11日開催の第3回電子処方箋推進会議では医療現場から挙げられる導入阻害要因と対策を検討、①導入に係る費用負担が重い→導入補助金を拡充、医療DX推進体制整備加算の創設②周囲の医療機関、薬局が導入していない→公的病院を中心に導入推進を強化③複数のシステム改修が次々と(断続的に)必要となることによる負担が大きい→複数のシステム改修の一体的な導入を推進④電子署名対応に手間がかかる(HPKIカード、カードリーダー不足)→マイナンバーカードを活用とした電子署名の仕組み構築、リモート署名の推進、システムベンダーへの早期導入呼びかけ⑤患者からの要請がなく、ニーズを感じない→国民向け周知広報を強化――等の対策が挙げられた。
 補助金に関しては基本、追加機能導入に対し国と都道府県助成を合わせ最大で病院:2分の1、診療所・薬局:4分の3、大手チェーン薬局:2分の1の補助があるため以前より増額されているが、システム維持費やサイバーセキュリティ導入、電子カルテ入れ替え時等の費用の問題がある。また医療DX推進体制加算に関しても医療機関だけでなく患者側の影響も受けるマイナ保険証の利用率による差がある。システム事業者によるリモート署名等電子署名形式の対応差も課題である。
 この状況下で7月からAmazonファーマシーが開始された。医療機関で電子処方箋を取得した患者がAmazonショッピングアプリで処方内容(控え)や引換番号の画像、保険証等を送付、予約時間に薬局からオンライン服薬指導を受け会計し、処方薬は自宅配送や薬局店舗で受け取りが可能となる。7月時点で9社2500店舗が参加、薬局はAmazonの配送サービスも利用でき、提携オンライン診療利用での処方箋発行も可能である。近くに薬局が無い方、慢性疾患の定期処方、時間の都合がつきにくい方等には有用であるが、当日必要とする急性疾患の方やスマートフォン、アプリ等不慣れな方には問題となる。電子処方箋の今後の普及率次第であるが患者側から医療機関へ電子処方箋対応の要望が増加する一因となり得る。
 重複投薬や併用禁忌のリスク軽減をはじめ電子処方箋のメリットは今後の機能追加で増加すると思われるが、その導入維持に関する問題、対応困難な医療機関や患者の存在も考慮すべきであり、拙速な義務化は望ましくない。継続的な補助および安定し利用、導入しやすいシステムの構築が期待される。(昌)