TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

救急医療功労者表彰式典

府医ニュース

2024年11月6日 第3089号

救急・災害医療のさらなる充実目指す

 厚生省(当時)は昭和57年に9月9日を「救急の日」と定めた。この日を含む1週間(日曜日から土曜日まで)を「救急医療週間」と位置付け、各地で関連行事が催されている。大阪府医師会でも例年、行政とともにこの時期に式典を開催しており、今年は9月12日午後、府医会館で救急医療功労者表彰を実施。引き続き府医主催の救急災害医療研修会を行った。

 救急医療功労者表彰式典は、大阪府・大阪市・大阪府下消防長会・府医の主催で開催している。鍬方安行・府医救急・災害医療部副部長(府医理事)の司会で始まり、冒頭、主催者を代表し中尾正俊会長があいさつした。
 はじめに府民の生命と健康を守るため献身的に救急医療へ取り組む関係者の姿勢に敬意を表した。
 災害医療では令和6年能登半島地震に触れ、JMAT大阪の支援活動を報告した。また、近年は地震や台風など自然災害による大きな被害が相次ぎ、医療においても災害に対する備えが求められると述べた。
 救急医療にも言及した。大阪では民間医療機関が主導していると指摘。来年4月から開催される大阪・関西万博でのCBRNE(Chemical:化学・Biological:生物・Radiological:放射性物質・Nuclear:核・Explosive:爆発物)テロを含むマスギャザリング災害でも力が発揮できるよう、行政のバックアップを要望した。そして、大阪の救急・災害医療がより充実したものになるよう尽力すると結んだ。

功労者に感謝状

 続いて、長年にわたり救急傷病者の受け入れや搬送業務に努めた功労者に主催団体より表彰状・感謝状が授与された。あわせて、鍬方理事より、岸本正文氏が令和6年度救急功労者総務大臣表彰、馬場武彦氏が同救急医療功労者厚生労働大臣表彰を受賞された旨の報告がなされた。
 髙倉俊二氏(近畿厚生局長)は祝辞で能登半島地震でのDMAT(災害派遣医療チーム)、JMAT(日本医師会災害医療チーム)活動を深謝するとともに、救急医療への貢献に謝意を示した。また、今後は高齢者の救急搬送のさらなる増加が予想されると指摘。地域全体で救急患者を円滑に受け入れられる体制を目指しているとし、一層の協力が要請された。
 最後に被表彰者を代表し、吉井勝彦氏(大阪府知事表彰)が登壇した。救急医療功労者として表彰されたことは身に余る光栄だと感謝の意を表した。また、頻発する災害に加えて急速な高齢化で救急医療はより重要さを増すと強調。今後も救急医療の充実・発展向上に努めると力を込めた。そして、住民の信頼を得て社会的役割を果たしていくと結んだ。

救急災害医療研修会
JMAT活動を報告

 式典後に行われた救急災害医療研修会では、鍬方安行理事が座長を務め、梶野健太郎氏(関西医科大学救急医学講座准教授)が講演した。はじめに加納康至副会長があいさつ。大阪・関西万博の開催を控え、発災時における医療救護体制の整備がより一層求められるとし、本研修会がその一助になればと期待を寄せた。
 続いて梶野氏が、「令和6年能登半島地震災害におけるJMAT活動報告」と題して講演した。同氏は大阪府災害医療コーディネーターおよびDMATインストラクターを務める。この日は1月1日に発生した能登半島地震に関して、DMAT、JMATそれぞれの立場で参加した経験を踏まえて活動状況を報告した。
 JMATでは金沢市内の二次避難所での対応のほか、被災医療機関の片づけに取り組んだと言及。一般のボランティアでは難しい側面もあり、医療者として寄り添うことが有用だったと振り返った。
 最後に、地域の医療を守るのは「地域の医療従事者」と語り、普段から備え、関係づくりが重要だと結んだ。

救急医療功労者

大阪府知事表彰
○社会医療法人愛仁会千船病院長
吉井 勝彦
○大阪公立大学医学部附属病院看護師長
片岡 由美
大阪市長感謝状贈呈
○愛染橋病院産婦人科部長
早田 憲司

大阪府下消防長会会長感謝状贈呈
○岸和田徳洲会病院救命救急センター長
鍜冶 有登
大阪府医師会長表彰
○いけだこどもクリニック院長
池田 和茂
○堺市立総合医療センター救命救急センター長兼救命救急科部長
森田 正則
○関西医科大学救急医学講座准教授
梶野 健太郎

消防関係
○大阪市消防局消防司令
石田  浩
○堺市消防局消防司令
松岡 数也
○枚方寝屋川消防組合消防本部 消防指令補
渡邊 剛三
○大阪南消防局消防司令補
高寺 直己
○箕面市消防本部消防司令補
須見 昭彦

厚生労働大臣表彰
○社会医療法人ペガサス理事長
馬場 武彦

総務大臣表彰
○大阪府立中河内救命救急センター 所長職務代理者所長代行
岸本 正文
(敬称略)