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府医ニュース
2024年10月30日 第3088号
今年10月から最低賃金が上がり、大阪府は昨年より50円増の1114円となりました。最近は毎年最低賃金が上がり、その上げ幅も大きくなっています。
しかし、税制上の扶養家族から外れて所得税が課税されるようになる年収額103万円は1995年以来変わっていません。俗に言う「103万円の壁」です。
独立行政法人経済産業研究所のサイトによると、配偶者のいる25~60歳の女性の給与収入分布は、年収103万円の手前に高いピークがあるということです。
年収が130万円を超えると自身で国民健康保険料と国民年金保険料を支払わなければならなくなる「130万円の壁」もありますが、130万円の手前のピークよりも103万円の手前のピークの方が際立っています。
税制上の扶養家族の範囲で働きたいと希望する場合、いくら最低賃金が上がったり、時間給が昇給したりしても年収は変えられず、勤務日数を減らさなければなりません。その分を他のスタッフでカバーすることが難しければ、スタッフを増やさなければなりませんが、簡単ではありません。本人にとっても何年働いても年収が増えないことが本当に良いのだろうかと思います。
実際上、103万円を超えても本人や配偶者にかかる税金が急に大きく増えるわけではなく、「壁」のイメージがひとり歩きしている感もありますが、会社によっては配偶者手当がなくなるところもあるようで、各々の家庭の事情があり、希望には沿わなくてはなりません。
特に資格を要しない職種でも比較的容易に達する額のまま長く据え置かれている「壁」は、雇用主にとっても、そしておそらくはパート労働者自身にとっても悩ましいです。
この原稿を準備している時に大阪府医師会長・中尾正俊先生のご逝去の報に接しました。先月末、府医会館の玄関でお元気なお姿をお見かけしたばかりだったので、大変驚いています。残念でなりません。心よりご冥福をお祈りいたします。(瞳)