TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年10月16日 第3087号
9月度郡市区等医師会長協議会(令和6年度第6回)が9月27日午後、大阪府医師会館で行われた。中尾正俊会長が公務のため欠席となり、加納康至副会長が代読した。本文は中尾正俊会長あいさつ(要旨)。
石川県能登地方で大雨による災害が発生し、11人の方が亡くなられた。ご冥福をお祈りするとともに、一刻も早い復興を願う。
本日は、午後1時から自民党総裁選の投開票が行われている。今回は9人もの候補者が名乗りを上げたが、我々にとって最も重要なことは社会保障政策である。社会保障費が十分に担保されることで、安定的な医療経営が可能となり、ひいては医師が安心して診療を続けられる。うまく経済を発展させながら、社会保障を充実させられる方が、日本のトップに立っていただきたい。
社会保障政策は喫緊の課題であるが、我々と財務省の思惑は相いれない部分が多い。財政制度等審議会の「春の建議」では、地域別診療報酬の導入が提言され、医師過剰地域の1点単価引き下げを主張している。また、開業規制なども声高に唱えている。医師の偏在対策に関しては、地域の実情に応じた対策を丁寧に進めていくことが大切であり、日医主導で進めなければならない。
9月8日に近畿医師会連合定時委員総会が開かれた。医療保険に関する分科会では、「ベースアップ評価料」に注目が集まった。病院では専門の人材を確保できることもあり、80%を超える医療機関が届出する一方で、診療所は約20%にとどまる。届出様式の複雑さも理解できるが、職員の賃金引き上げも大切であり、ぜひ検討いただきたい。一方で、細部が分からず届出をためらう先生方も多いと聞く。近日中に近畿厚生局の協力を得て、改めてベースアップ評価料に関する説明会を実施したい。現状の低い届出率であれば、財務省は「ベースアップ評価料を算定しなくても、診療所は対応できている」と、引き下げの材料にすることも十分考えられる。必要に応じて府医もスムーズに届出ができるよう支援したい。
近医連では医療DXにも議論が及んだ。都市部と過疎地域で温度差が激しく、拙速なIT化が地域医療の崩壊を招くとの懸念が示された。医療DXは医療の一つのツールに過ぎず、患者、医療機関双方にとって有益でなければ意味がない。誰一人取り残されないことが最も重要だ。12月2日から現行の紙の保険証は発行されなくなり、マイナ保険証へと切り替わるが、まもなく10月というこの段階でも利用率は低迷している。国民、医療機関双方にとってメリットが感じられないということだろう。マイナ保険証については、医療機関だけに責任を負わせるような風潮があるが、政府の責任においてしっかりと周知してほしい。また、医療DXを進めたいのであれば、システム導入費用はもちろん、ランニングコストも考慮すべきであり、日医にも現場の意見をしっかりと伝えていく。
まもなく新型コロナワクチンの定期接種が始まる。新たに承認されたワクチンもあり、添付文書で接種量などを確認し、誤りのないよう注意いただきたい。ワクチン接種は、重症化予防の観点からも重要であり、患者にも適宜説明いただければと思う。また、新型コロナワクチンについては、医療・介護従事者への補助を検討願えるよう行政や政治に要請している。小児の初回接種、基礎疾患のある方などにも助成があれば、今後の流行対策にもなるので、引き続き訴えていく。