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令和6年度第1回大阪府医師会・大阪府病院協会・大阪府私立病院協会合同懇談会

府医ニュース

2024年10月16日 第3087号

議論を通して意見の調整を図る

 大阪府医師会・大阪府病院協会(大病協/木野昌也会長)・大阪府私立病院協会(私病協/加納繁照会長)は8月29日夕刻、府医会館で第1回合同懇談会を開催。それぞれの役員ら29人が出席した。

 今年度は、病院団体との懇談会を例年と異なり計3回予定している。「新たな地域医療構想」をにらんだ中尾正俊会長の肝いりで、三者間の議論を深めることが狙いだ。メインテーマを「新たな地域医療構想について――2040年頃を見据えた地域完結型の医療・介護提供体制の構築に向けて」とし、現状の医療政策を巡る課題を掘り下げ、新たな地域医療構想の策定に向けて認識を共有する。第1回は「在宅医療に必要な連携を担う拠点(拠点)」と「紹介受診重点医療機関」をキーワードに意見を交わした。
 阪本栄・府医副会長の進行の下、各団体の会長があいさつ。中尾・府医会長は、医師会と病院団体の意見の相違に触れ、丁寧に議論を進めて形にし、病院連絡会や保健医療協議会に臨みたいと明かした。木野・大病協会長は、ともに大阪の医療を支えていく上で、密な意見交換の場はありがたいと評した。加納・私病協会長は、行政との折衝に向けての意見調整は大切であり、オール大阪で取り組みたいと述べた。
 懇談では、まず加納・私病協会長が、民間医療機関主体で支える日本特有の医療提供体制を詳説し、今後の課題を検証した。高齢者医療では、認知症対策のほか、「救急」「在宅医療」「がん治療」への対応が重要とし、全機能を集約した巨大病院ではなく、地域密着型ケアミックス急性期病院が理想的との見解を示した。また、かかりつけ医と紹介受診重点医療機関の連携に関連し、在宅療養後方支援病院に言及。かかりつけ医の連携先の中心になっていくと見通した。また、連携には3カ月に1度の患者の情報共有が必須とされ、これこそが今後のあり方だと述べた。

「拠点」に求められる役割など解説

 次に、宮川松剛・府医副会長が「拠点」を中心に解説。第8次医療計画において、①紹介受診重点医療機関の選定を地域の協議の場に委ねた②在宅医療における病診連携を「連携の拠点」に任せた――ことは非常に重要だと前置きし、拠点に求められる役割を説明。かかりつけ医機能報告制度における締め付けが懸念される中、病診連携が強制的なものにならないように声を上げていきたいと力を込めた。
 続いて意見交換を行った。病院団体からは、▽「ベースアップ評価料」だけでは病院の持ち出しが多い▽新設された地域包括医療病棟の施設基準が高い▽各種基準を満たすために患者の受け入れや転棟などに苦慮する▽9割程度の病床を稼働しても経営が厳しい――など、診療報酬と実態との隔たりが指摘された。宮川・府医副会長は、今後、拠点を中心に24時間体制の在宅医療を提供するには、後方支援病院などとの連携が不可欠だが、そのシステムを成り立たせるためにも、現状で明らかになっている負担や課題を国に上げる必要があると述べた。
 最後に加納康至・府医副会長が、今後も本日のような活発な意見交換ができればと期待し懇談会を結んだ。