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医師・医療関係者のみなさまへ

第1回小児救急医療研修会

府医ニュース

2024年10月16日 第3087号

「いつもと違う」感覚を大切に

 令和6年度第1回小児救急医療研修会(大阪府医師会主催、大阪小児科医会後援)が8月22日午後、府医会館とウェブの併用で開催された。本研修会は、「休日・夜間急病診療所における小児科診療体制の向上」を目的に毎年3回シリーズで実施。今回は、医師・看護師ら約50人が受講した。
 冒頭、加納康至副会長はあいさつで、救急医療は府民の生命・健康に直結するセーフティーネットの役割を担っていると説明。特に、休日・夜間急病診療所での初期救急は、救急医療の基盤となる重要な業務だと伝えた。一方、会員の高齢化等に伴い、小児科医の確保が困難な状況だと指摘。休日・夜間急病診療所での小児科対応がより円滑に進むよう、本研修会がその一助になればと期待を寄せた。
 続いて、池田和茂氏(府医救急・災害医療部委員/いけだこどもクリニック院長)が座長を務め、新田雅彦氏(同部委員/大阪小児科医会理事)が「小児救急の現状」「小児初期救急の要点」と題して講演した。新田氏はまず、大阪府・市における中央急病診療所の役割や診療体制を紹介。府医会員が交代で出務し、休日夜間等における初期救急医療、特に眼科・耳鼻咽喉科は府内全域を支えているとした。また、小児の診療における特徴と注意点を解説。小児救急の診療では「トリアージが重要」と述べ、重症度に応じて診療順を決定するよう促した。
 次いで、小児の発熱への対応について言及。「熱の高さと重症度は必ずしも一致しない」と述べ、受診が必要な場合の特徴を示した。ただし生後3カ月未満の場合は、入院を考慮する必要があると強調した。さらに、乳幼児には特有の疾患があり、小児は症状をうまく伝えることができないため、家族への問診や保護者の「いつもと違う」という感覚は大切だと説示。最後に、小児救急の現場では経過観察が非常に重要であり、▽その場で完結しようとしないこと▽経過での注意点や自宅でのケアの十分な説明――が大切と呼びかけた。