TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

令和6年度ロコモ研修会(実習)

府医ニュース

2024年10月16日 第3087号

「ロコトレ」で健康寿命の延伸を目指す

 令和6年度「ロコモ研修会(実習)」が8月21日・29日に大阪府医師会館で開催された。本研修会は元年度から始まり、「運動器症候群(ロコモティブシンドローム/以下、ロコモ)」をテーマとした講義および実習を毎年実施している。なお、両日とも同内容であり、日医認定健康スポーツ医など計86人が受講した。
 座長は両日とも小林正之氏(府医健康スポーツ医学委員会委員)が務め、第1日は宮田重樹氏(宮田医院長)、第2日は和田孝彦氏(オサダ整形外科クリニック理事長)が講演した。冒頭、前川たかし理事はあいさつで、超高齢社会の中で健康寿命を延ばし自立した生活を続けるためには、これまで以上にロコモ予防が大切になると強調。適切な対策を行えば回復可能であるとし、本研修会の内容を日常診療で活用してほしいと述べた。

適切な運動は認知症予防などにも効果

 講演では、6年度から開始した「健康日本21(第三次)」に言及。「健康寿命の延伸・健康格差の縮小」を基本的な方向の一つに掲げ、ロコモに関する目標では、足腰に痛みのある高齢者の減少を目指しているとした。また、「フレイル」「ロコモ」は要介護になる危険な兆候だと説明。フレイルの状態だと内科疾患の予後も悪くなるため、早期発見・早期対策が重要と伝えた。足腰の状態をチェックする方法として「ロコモ度テスト」を解説。段階に応じて適切な対策を行うよう促した。さらに、ロコモの3大要因は、運動器疾患・筋力低下・バランス力低下だと指摘。日本整形外科学会による「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」はロコモ対策に効果があるとし、①スクワット②片脚立ち③ヒールレイズ④フロントランジ――の4つの基本運動を実習を交えて指導した。最後に、適切な運動は認知症や生活習慣病の予防にもなると述べ、「ロコトレでいつまでも自立した生活を続けてほしい」と呼びかけた。