TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年10月16日 第3087号
大阪府医師会(大阪府・大阪市共催)は9月21日午後、第1回認知症サポート医フォローアップ研修を開催。府医会館とウェブ受講の併用で約400人が受講した。
開会あいさつで前川たかし理事は、2030年には認知症患者が高齢者人口の14%を占めるとする最新推計を引き合いに、適切な介護・福祉サービスにつなぐ役割としてサポート医の重要性が今後一層高まると述べた。
講演では、中祐次氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が座長を務め、森本一成氏(大阪精神医学研究所新阿武山病院副診療部長)が、「多職種連携にむけての当院の取り組みと、私の考える認知症サポート医の役割について」と題し登壇した。
森本氏は、サポート医は地域における「連携の推進役」であり、ケアマネジャーとかかりつけ医、専門医らが気軽に相談できる「顔の見える関係づくり」に努めることが重要だと語った。あわせて、地域住民や関係者向けの研修会、多職種が円滑に連携するために開発した様式を紹介。サポート医の役割として、▽啓発▽専門医療機関への橋渡し▽早期受診▽早期治療▽介護保険の導入の促し▽対応の仕方へのアドバイス――を挙げた。
次いで、①アルツハイマー型②血管性③前頭側頭葉変性症④レビー小体型――の各認知症の症状や進行、早期発見および治療・ケアに係るポイントを解説。レビー小体型認知症では、初期症状に便秘や嗅覚障害などかかりつけ医が相談されやすいものが多いと指摘。また、介護者が認知機能レベルの変動の大きさを理解し、覚醒度を上げるためにできるだけ家の外で過ごすよう推奨した。そのほか、幻視や錯視、妄想などへの対応を詳述。さらに、認知症における薬物療法は、介護保険を利用した周辺環境の整備や、適切な声かけなどの非薬物療法があってこそ有効になると力を込めた。
最後に、かかりつけ医やサポート医が、BPSD(行動・心理症状)への対応をうまくアドバイスすることで地域の介護力が上がるとし、場面ごとに対応方法を詳説。患者の人柄や残された機能を把握して、行動の裏にある意味を考えながら、身体の不調や薬剤の副作用を確認し、多職種で意見交換するようアドバイスした。また、患者が作っている世界を理解して、その世界に合わせて対応することが大切だと見解を示した。